本研究は、低放射化フェライト鋼とその溶接部を対象に、照射損傷と疲労損傷によるき裂発生機構を究明し、き裂発生の予兆検知指標の開発と、発生寿命延伸のための対策技術の構築を目的とした。き裂発生サイトは特定の部位には限定されず、旧オーステナイト粒界、パケット境界、ブロック境界、ブロック内部の下部構造に区分され、結晶粒内が大半であった。照射損傷により発生寿命は短くなったが、発生サイトやその割合に変化はなかった。照射損傷の有無にかかわらず、旧オーステナイト粒界によるき裂成長の抑制効果が見出され、結晶粒径最適化と粒界存在確率の調整により、粒径を超える微小き裂の発生が抑制できる可能性が示された。
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