研究課題/領域番号 |
23760805
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
古川 勝 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80360428)
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キーワード | プラズマ・核融合 / 境界層 / 数理物理 / 特異摂動 / 波動 |
研究概要 |
本研究課題は,磁化プラズマの抵抗性磁気流体力学的(MHD)安定性問題に対する代表的方法論の1つであった漸近接続法(境界層理論)が適用不可能または現実的に困難な状況があることを指摘し,それらの困難を除去することができる,当該研究者等が開発した新しい接続解法を更に発展させるものである.特に,(1)新しい接続解法をトロイダルプラズマに適用し,ITER(国際熱核融合実験炉)等の超高温の核融合プラズマにおける抵抗性MHDモード安定性解析を正確に行えるようにすること,(2)抵抗性MHD不安定性等による磁気島成長と飽和,およびプラズマ回転や外的不整磁場との相互作用に関する弱く非線形な現象を扱えるように拡張することを目的としている.いずれもITER等の超高温核融合プラズマの閉じ込め性能を予測し,さらに改善するための最重要課題となっている. 平成23年度は,本研究によって開発した新しい方法論の利点が生かされる状況の1つとして,有限Larmor半径効果を含めたモデルへの拡張を行った.定式化を行い,また,固有値問題を解くコード開発して初期的な計算結果を得た.平成24年度は,平成23年度に得た初期的な計算結果を分析してさらに研究をすすめ,査読付論文として国際的な論文誌に発表すると共に,学会等で成果発表を行った.また,トロイダルプラズマへの適用の定式化を一部進めた.さらに,弱く非線形な現象に適用するための例題として,流体力学における境界層について調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度に行う予定だったトロイダル配位への拡張は,それを行う前にすべき有限Larmor半径効果を含める拡張を行うために進行が遅れていた.有限Larmor半径効果関連は,平成24年度に国際的な論文誌に査読付論文として発表し,また学会等で発表を行った.この分,トロイダル配位への拡張,およびその先に予定している弱く非線形な現象への拡張が遅れた状態となっている.
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今後の研究の推進方策 |
トロイダル配位への拡張については,平成24年度に定式化を一部行ったので,これを今後も継続して進める.また,その先に予定している弱く非線形な現象への拡張については,平成24年度中からその準備を並行して進めており,プラズマよりも扱いが簡単だと思われる流体力学における境界層についての調査を行ったので,これをさらに進める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度にやや多く使った旅費については,平成24年度に使用を控え,ほぼ計画通りとなっている.また,物品費については,平成23年度に使用額が予定よりも少なかったが,研究代表者の転職に伴い,必要となった物品を準備した事情により,やはり概ね計画通りとなっている.次年度も当初計画に則って使用する予定であるが,先に述べた転職の事情により,以前より出張しづらい環境となっており,旅費の使用額は少なくなると見込まれる.
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