本研究課題は,磁化プラズマの抵抗性磁気流体力学的(MHD)安定性問題に対する代表的方法論の1つであった漸近接続法(境界層理論)が適用不可能または現実的に困難な状況があることを指摘し,それらの困難を除去することができる,当該研究者等が開発した新しい接続解法を更に発展させるものである.新しい方法論の利点が生かされる状況の1つとして,有限Larmor半径効果を含めたモデルへの拡張を行い,研究成果を国際的な論文誌に発表すると共に学会等でも発表した.さらに,この方法のトロイダルプラズマへの適用についてコード開発を行った.また弱く非線形への拡張についても円柱プラズマでのコード開発を行った.これらの成果は学会にて発表した.後者については平成28年度秋に開催されるIAEA核融合エネルギー会議へ論文投稿し,国内選考を通過した状態である. 加えて,接続解法の外部解としては理想MHDモデルの定常解を用いるが,これを非正準Hamilton力学系の理論を利用して求める方法を新たに開発した.本方法によれば,従来の標準的な方法では求められないような流れをもつ定常解や,3次元的で磁力線がカオス的になる定常解も求めることが可能である.この理論と数値シミュレーションによる実証は,査読付論文として国際的な論文誌に発表し,また学会等で成果発表を行った.さらに,Hamilton力学系の性質を保持する数値シミュレーションを目指し,まずは有限自由度の質点力学で新しいアルゴリズムを開発し精度検証を行った.この成果は,査読付論文として発表するとともに学会等でも発表した.
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