研究課題/領域番号 |
23760809
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊池 祐介 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00433326)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマガン / パルス熱負荷 / ダイバータ / タングステン / 蒸気遮蔽 |
研究概要 |
平成23年度は材料照射実験用の磁化同軸プラズマガン装置を製作し、その特性評価を中心に実施した。ITERのダイバータに到達するType I ELMのエネルギー密度は0.2から2 MJ/m2程度と想定されており、本研究のプラズマガン装置では2 MJ/m2のエネルギー密度を目標とした。 まず、プラズマガン装置の放電用コンデンサバンク電源容量を25 kJから70 kJに増強した。また、プラズマの高密度化のためにテーパー付ドリフト管を採用した。材料照射実験においてはプラズマガンの内部電極からの不純物発生が問題になるため、内部電極のタングステンコーティングおよび電極先端部へのバルクタングステン材を採用し、電極溶融を低減した。材料照射実験用にターゲットチャンバーもあわせて製作した。 生成されたパルスプラズマがターゲット材料に付与するエネルギー密度をカロリーメータにより測定した。その結果、電源電圧7 kVにおいて2 MJ/m2のエネルギー密度(パルス幅:0.2 ms)が得られ、装置開発の目標が達成された。プラズマパラメータの測定も実施し、線平均電子密度2x10の21乗 m-3、プラズマ速度90 km/s、ドップラーイオン温度20 eV程度が得られた。 材料照射実験として、ITERダイバータに適用が検討されているタングステンモノブロック材にパルスプラズマを照射したところ、タングステン表面での亀裂発生ならびに溶融が明瞭に確認された。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校との共同研究により、定常ヘリウム予照射タングステンへのパルスプラズマ照射実験を実施し、タングステンファズ表面構造がパルスプラズマ照射により損傷を受けることを示した。 本研究の特徴である2台のプラズマガンを接続したダブルプラズマガン装置に向けて、2台目のプラズマガン装置の製作もあわせて開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料照射用のプラズマガン装置の開発は順調に進み、装置開発の目標においたエネルギー密度2 MJ/m2を達成することができた。また、得られたパルスプラズマをITERダイバータに適用が予定されているタングステンモノブロック材に照射したところ、タングステン表面の亀裂発生および溶融を確認し、次年度以降の材料照射実験を遂行するための装置性能が得られたと言える。同様に2台目のプラズマガン装置製作も開始し、次年度のダブルプラズマガン実験へとつなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
材料照射実験としては、タングステン被覆材、タングステン合金、微結晶粒タングステン材、定常プラズマ予照射タングステンへのパルスプラズマ照射実験を実施し、ITERダイバータ材料および核融合炉壁材料のパルス熱負荷耐性を評価する。 次年度は2台目のプラズマガン装置を製作完了し、ダブルプラズマガン装置を開発する。複数台のパルス電源を制御し、2つのパルスプラズマ生成を行う。 ダブルプラズマガンにより生成された2つのパルスプラズマは時間差をつけてターゲット材料へ照射されるが、その時間差をパラメータとしたときに材料損傷がどのように変化するかを調査する。その際、材料表面損傷を電子顕微鏡により評価し、照射前後のサンプル質量計測も行う。蒸気遮蔽効果を検証する際には、サンプルとしてタングステンだけでなく融点の低いアルミニウムや炭素材料を用いた実験も実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は2台目のプラズマガン装置製作にともなう金属材料や照射実験用サンプルホルダー製作などに研究費を使用する。また、2012年5月に開催されるプラズマ材料相互作用に関する国際会議への出張旅費に使用する。平成23年度予算の一部を2台目のプラズマガン製作費に用いるため、次年度に使用することとした。
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