研究課題/領域番号 |
23760809
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊池 祐介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00433326)
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キーワード | プラズマガン / パルス熱負荷 / ダイバータ / タングステン / 蒸気遮蔽 |
研究概要 |
平成24年度は本研究により製作した磁化同軸プラズマガン装置を用いて、生成されたパルスプラズマの特性評価ならびに材料照射実験を行った。 まず、放電ガスにヘリウムを用いてプラズマを生成し、カロリーメータによるエネルギー密度計測、He-Neレーザ干渉計による線平均電子密度計測、イオンドップラー分光器を用いたイオン温度・フロー計測を実施した。測定は実際に材料照射を実施するターゲットチャンバー内にて実施している。実験ではガン放電電圧、バイアス磁場に対する依存性を調査した。材料に付与される熱量であるエネルギー密度はガン電圧の上昇とともに増加し、あるバイアス磁場にて最大となる依存性が得られた。HeIIのドップラー拡がりからイオン温度、ドップラーシフトからイオンフローを評価した結果、バイアス磁場が強くなるとプラズマフローが減速し、一方、イオン温度は上昇した。線平均電子密度はエネルギー密度と同じバイアス磁場の値にて最大となった。これらの結果を用いてプラズマのエネルギーをもとめた結果、カロリーメータにより測定したエネルギー密度と同様のバイアス磁場依存性が得られた。 材料照射実験として、ITERグレードW、W-Ta合金、プラズマ溶射W被覆フェライト鋼にパルスプラズマを照射した。まず、W-Ta合金ではパルスプラズマ照射による亀裂発生がITERグレードWと比較して大幅に抑制されることを示した。また、W被覆フェライト鋼では表面溶融が明瞭に確認されたものの、W被覆層とフェライト鋼の接合面の健全性は保たれることを示した。これらの結果は2012年5月にドイツで開催されたPSI国際会議にて発表し、Journal of Nuclear Materials誌に投稿、受理された。 本研究の特徴である2台のプラズマガンを接続したダブルプラズマガン装置に向けて、2台目のプラズマガン装置の製作を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
材料照射実験ではW-Ta合金材、W被覆材へのパルスプラズマ照射実験を実施し、国際会議発表、学術論文への投稿をすることができた。また、パルスプラズマパラメータの詳細測定が可能となった。ダブルプラズマガン実験用の2台目のプラズマガン装置の製作も完了し、次年度の実験準備をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
材料照射実験としては、タングステン被覆材、タングステン合金、微結晶粒タングステン材、定常プラズマ予照射タングステンへのパルスプラズマ照射実験を実施し、ITERダイバータ材料および核融合炉壁材料のパルス熱負荷耐性を引き続き評価する。 次年度は2台目のプラズマガン装置をターゲットチャンバーに接続し、ダブルプラズマガン装置の運転を開始する。 ダブルプラズマガンにより生成された2つのパルスプラズマは時間差をつけてターゲット材料へ照射されるが、その時間差をパラメータとしたときに材料損傷がどのように変化するかを調査する。薄板材料の背面からの光学測定により材料表面の温度上昇を高時間分解能にて測定する技術開発も実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
材料照射実験時のサンプルホルダー製作や少額の光学部品の購入および学会発表旅費等に研究費を使用する。
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