研究課題
平成26年度の主な成果の一つは、核燃焼プラズマの輸送シミュレーションに向けた多イオン種プラズマ用のクーロン衝突項が完成したことである。この線形化クーロン衝突項は、従来よく用いられているものと異なり、粒子種ごとに異なる温度を持っていても線形化衝突項が随伴性を保つ形に作られており、BoltzmanのH定理やOnsagar対象性という、新古典輸送理論において重要な性質を保つために必要不可欠な拡張である。この研究成果は日本物理学会において口頭発表を行い公表した。もう一つの成果は、これまで開発してきた大域的新古典輸送コードFORTEC-3Dで得られた知見を基に、プラズマ全体ではなく単一磁気面のみを解く局所近似モデルをFORTEC-3Dの2-weight delta-f法で構築することに、共同研究者との研究で成功した事である。この局所近似は、現在一般的に使われている局所近似モデルと異なり、荷電粒子の磁気ドリフト項の磁気面接線成分を残して磁気面垂直方向ドリフトのみ落とす新しい定式化で、これによって特に径電場によるE×B回転が遅い場合に、従来の局所近似と比べかなり大域的新古典コードに近い結果を再現できることを世界で初めて示した。そして、この磁気面接線成分のドリフト運動の効果が、ヘリカル型磁場閉じ込め装置における新古典熱輸送の定量的評価において無視できない事を複数の装置における新古典輸送シミュレーションから示し、その成果をEPSにおいて口頭発表した。その他、新古典トロイダル粘性がトカマクのトロイダル回転に与える影響のシミュレーション研究を昨年に引き続き行い、その成果はIAEA2014という核融合研究で最も重要な国際会議において共同研究者が国際選考で口頭発表枠を勝ち取り、発表することができた。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
Nuclear Fusion
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