研究課題/領域番号 |
23760816
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
小林 政弘 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30399307)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | プラズマ・核融合 / モデル化 / 周辺プラズマ / ストキャスティック磁場 |
研究概要 |
平成23年度の成果は以下の2点である。(1)ダイバータ部に特化した分光計測の立ち上げを行い、これによるデータ収集を行った。(2)炭素に加え、ネオンパフ実験を行い、不純物輸送の不純物種依存性に関するデータを取得した。また輸送計算コードのネオンへの拡張を行し、実験との比較を行った。 (1)については、当初の予定通り、コアプラズマを通らずに直接ダイバータ部を見込む視野を確保し、光学系の設計を行い、実験データを取得した。データは200~700nmまでの可視域から紫外を含む領域を確保しており、これにより炭素の発光線 CII, CIII, CIV, CVが観測可能となった。また化学スパッタリングによるCHバンドの計測も可能になった。光学系の視野は、ダイバータ板からストキャスティック層、最外殻磁気面までを一度に計測することが可能となっており、輸送解析に有用なデータとなる。分光器の絶対較正はほぼ終了し、当初の目標の炭素の発生量の定量評価を残すのみとなっている。 (2)については、当初の研究計画にあった輸送の不純物種依存性についての研究の一つとして実施した。新たに立ち上げた分光計測により、ネオンパフ時の発光スペクトルを得た。更に、既存のEUV,VUV分光器により、NeVIIIの分布計測を行った。この発光線の線強度比からNe7+の存在領域の電子温度を評価した。これに対応して、プラズマ輸送計算コードをネオン不純物に拡張し、Ne7+の分布計算を行い、実験同様の視野で発光線強度比を計算して比較を行った。この結果、実験で得られたNe7+は計算に比べて高い温度領域に分布することがわかった。輸送モデルの改善に関する重要なデータを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、新たに立ち上げた分光計測で炭素発生量と閉じ込め領域への侵入量の定量評価を掲げていたが、これがまだ達成されていない。ただし、計測系の立ち上げと絶対較正・データ収集は終わっており、あとは解析を残すのみである。間もなく当初の目的を終了できる。一方、不純物種依存性を見るという点では、新たにネオンに関する実験と計算が進展しており、輸送モデルの検討が進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
炭素の発生量と閉じ込め領域への浸入量の定量評価を行う。また、磁場配位を変化させた実験を行い、輸送と磁場構造依存性の関係を調べる。更に、平成23年度に立ち上げた光学系の基礎データをもとに、光ファイバーのチャンネル数を40に増やし、新たに2次元分布測定を行う。これにより、炭素をはじめとした各種不純物の発光位置と磁力線構造との関係をより詳しく観察する。また、高Z不純物の輸送研究として、キセノン、クリプトンを入射してその挙動を観測し、計算コードとの比較を行う。これまで進めてきた鉄の輸送解析と合わせ、高Z不純物の輸送過程についてモデルの妥当性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たに設置する2次元分布測定用の光ファイバー、レンズユニット、真空窓、シャッタの購入を行う。これらはすでに発注済で平成24年度4,5月に納品予定。また、光学系調整のためのレーザー発振器を購入する。
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