研究課題/領域番号 |
23760817
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
星野 一生 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合開発部門, 研究員 (50513222)
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キーワード | 核融合プラズマ / トカマク / ダイバータ / 非接触ダイバータプラズマ / 統合ダイバータシミュレーション |
研究概要 |
核融合炉における熱・粒子制御に対して非常に重要となる非接触ダイバータプラズマの物理機構解明とそれに基づく制御手法確立のために、今年度は統合ダイバータコードSONICの改良とベンチマークを中心に以下のとおり研究を進めた。 (1)プライベート領域側境界条件の改良、不純物の電離により生成された電子による輸送への寄与、等のモデル改良の結果、高炉心密度に伴うダイバータ粒子束の低減がより顕著に起こるようになった。ダイバータにおける電子温度は1eVを下回っており、従来から考えられてきた体積再結合によるイオン粒子の消失が主な原因と考えられる。 (2)SONICコードと欧州で開発されたSOLPSコード、さらにJT-60U実験データベースを用いてベンチマークを開始した。SONICコードで得られたダイバータ粒子束の減少傾向は実験データと定性的に一致する。しかし、実験では非接触ダイバータプラズマの開始時には電子温度は10eV以上あると考えられ、SONICで見られる体積再結合が主な原因となる非接触化とは一部形成機構が異なる可能性がある。一方、SOLPSコードでは、電子温度は実験と同程度で10eV以上でありながら非接触化が始まっており、非接触ダイバータプラズマ形成機構は実験に近いと考えられるが、定量的には5倍以上粒子束が大きい。次年度、より詳細に結果の比較を行い、非接触ダイバータプラズマ形成機構を明らかにし、その制御手法について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル改良が順調に進み、これまで再現が難しかった非接触ダイバータプラズマ発現によるダイバータ粒子束の低減について改善することができた。また、ベンチマークについても、炉心密度をパラメータとした系統的な比較が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に引き続き、より詳細にベンチマーク作業を進め、非接触ダイバータプラズマの物理機構を明らかにしていく。 25年度後半には、それまでに得られた知見を元に、非接触ダイバータプラズマの制御手法の検討に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表及びダイバータプラズマモデリングの専門家との討論・情報交換のため、国際会議及び国内学会に参加する。
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