研究課題
核融合炉における熱・粒子制御に対して非常に重要となる非接触ダイバータプラズマの物理機構解明とダイバータ熱制御手法確立のために、統合ダイバータコードSONICの改良、欧州のSOLPSコードとのベンチマーク、核融合原型炉を対象とした熱制御シミュレーションを実施した。(1)SONICコードにおいて、プライベート領域端境界条件及び輸送モデルの改良、不純物の電離により生成された電子による輸送への寄与、等のモデル改良を行った結果、高炉心密度に伴うダイバータ粒子束の低減がより顕著に起こるようになった。(2)SONICコードとSOLPSコードのベンチマークを実施した。SONICコードで得られたダイバータ粒子束の減少傾向は実験データと定性的に一致する結果が得られた。一方、SOLPSコードでは、電子温度は実験と同程度の10eV以上でありながら非接触化が始まっており、体積再結合以外の粒子束低減機構が重要であることがわかった。(3)原型炉パラメータを用いたシミュレーション解析を行った。核融合出力3GWの場合、炉心から排出される熱(500MW)の92%をAr不純物により放射させることで、部分非接触ダイバータプラズマが得られた。しかし、不純物放射の寄与が大きく、ダイバータ総熱負荷はダイバータ除熱性能を上回る16MW/m2であった。伸長ダイバータや低核融合出力の効果について解析を行い、それぞれ完全非接触ダイバータプラズマの解が得られた。しかし、前者については、プラズマ及び不純物放射による熱負荷は大幅に低減できたものの、イオン粒子束及び中性粒子による熱負荷が大きく、総熱負荷の低減は11.5MW/m2に留まった。これはダイバータの伸長に伴い、受熱面積が減少したためと考えられる。一方、後者の場合、総熱負荷を6MW/m2にまで低減することができ、ダイバータ成立の方向性を示すことができた。
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Nuclear Fusion
巻: 53 ページ: 123013
10.1088/0029-5515/53/12/123013