研究課題/領域番号 |
23760822
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50510129)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 3次元アトムプローブ / 中性子照射 / ステンレス / 照射誘起析出 |
研究概要 |
(I)溶質集合体-照射欠陥の相互位置関係を実空間で解析する方法の開発TEMと3D-APとを直接結びつけるための観察手法を開発した。手順の概略は以下の通りである。(1) 集束イオンビーム(FIB)で観察試料から微小試験片をサンプリングする。 (2) 微小試験片を試料ホルダーに載せて接合する。これは専用設計品であり、3~5個の微小試験片を一度に載せられるような設計である。導電性・熱伝導性・機械的強度を考慮しタングステン製である。 (3) FIBで、微小試験片を3D-AP観察のための針状試料に加工する。 (4) 試料ホルダーを、TEMホルダーに移す。これは、2軸傾斜のTEMホルダーを改造した特注品である。 (5) TEM観察後の試料を3D-APに移し、局所電極型3D-APによる観察を行う。 以上の方法では、3D-AP針状試料をTEM内で2軸で傾斜させて観察することで、そこに含まれる欠陥を同定し、その後の3D-AP観察で溶質集合体との位置関係を直接明らかにすることが可能である。また、専用設計の試料ホルダー・TEMホルダーと局所電極型3D-APを用いることで、多数の微小試験片を次々とTEM・3D-AP観察することが可能であり、効率良く実験を進めることができる。(II)ステンレス鋼の中性子照射の準備ステンレス鋼およびそのモデル合金(Fe-Si-Ni-Cr等)を準備し、材料試験炉(JMTR)で中性子照射を行うための準備を行った。照射では、多分割型キャプセルを利用することとした。このキャプセルは、一連の試料を同一キャプセルの同一段で照射し、規定の照射量に達した試料毎に、外部からのワイヤーで試料を炉心から引き上げる照射方法であり、照射温度と中性子フラックスを高精度に揃えた照射を行うことができる。計画照射量は、(0.1 - 1)dpaである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)溶質集合体-照射欠陥の相互位置関係を実空間で解析する方法の開発に関しては、おおむね順調に進展した。東日本大震災の影響により東北大金研大洗施設の透過型電子顕微鏡が損傷を受けたために実験自体は次年度以降になる。(2)ステンレス鋼の中性子照射に関しては、今年度は同じく東日本大震災による影響のために中性子照射は行えなかったものの、試料準備などの照射準備は行うことができた。照射キャプセルへの試料装荷もすでに完了しており、次年度以降の材料試験炉再稼働を待って中性子照射を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画書の通り、今後は材料試験炉で中性子照射したステンレス鋼の3次元アトムプローブ観察および透過型電子顕微鏡観察を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に使用した消耗品が当初の予定よりも少なかったため、研究費に若干の繰り越しが生じた。次年度は試料の観察が中心になるため、3次元アトムプローブや電子顕微鏡関連の消耗品への支出が多くなる予定であり、平成23年度に生じた繰り越し分も含めて消耗品を中心に研究費を用いる。また、研究成果発表のため論文投稿費用や学会参加費用にも充てる予定である。
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