研究課題/領域番号 |
23760822
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50510129)
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キーワード | 照射欠陥 / 3次元アトムプローブ / 中性子照射 / ステンレス / 照射誘起析出 |
研究概要 |
ステンレス鋼およびそのモデル合金(ニッケル鋼、クロム鋼など)を中性子照射する準備を行った。具体的には、多段・多分割の引き上げ方式の照射キャプセルを設計した。これは材料試験炉(JMTR)の代替炉として用いているベルギー・BR2炉での使用を見込んで開発している者である。6ヶ月の間、BR2炉に長期出張し、現地の担当者と議論を深めて照射キャプセルの設計を行った。完成後、前年度までに準備したステンレス鋼などの試料をBR2炉で中性子照射する。 JMTRは平成24年度中には再稼働しなかったためJMTRを用いた中性子照射は出来なかったが、平成25年度に見込まれる再稼働後は、直ちに中性子照射実験を行う。 ミクロ組織観察に関しては、既存の中性子照射試料を用いて、ステンレス鋼や低合金綱(圧力容器鋼)における照射欠陥と溶質原子クラスターの観察を3次元アトムプローブや陽電子消滅法を用いて進めた。特に、軽水炉温度(300℃付近)で照射された試料の観察を行い、ナノボイドは形成していないこと、NiやMnを中心とした溶質原子クラスターが形成していること等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステンレス鋼中のニッケル-シリコン析出物に関しては、3次元アトムプローブを用いてその寸法、数密度、化学組成を観察しており、予定通りの進展を得ている。また照射欠陥に関しても陽電子消滅実験を中心に解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に記載した当初の研究計画の通り、今後は材料試験炉で中性子照射されたステンレス鋼やそのモデル合金の3次元アトムプローブ観察および透過型電子顕微鏡観察を進める予定である。陽電子消滅実験も相補的に追加する。それらによって得られたミクロ組織分析結果を基に、ステンレス鋼やそのモデル合金の照射硬化をラッセル-ブラウンモデルなどの理論モデルを用いて予測・検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、研究成果の発表を複数の国際会議で行ったため、旅費が当初の予定よりも多くなった。その一方で3次元アトムプローブなどの消耗品は、試料作製方法の改良などのよって低く抑えることが出来た。平成25年度は、引き続き研究成果発表に力を入れ、国際会議での発表や論文投稿に研究費を充てる予定である。
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