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2012 年度 実施状況報告書

含水溶融塩中のウラニル及びネプツニルのラマン分光分析研究

研究課題

研究課題/領域番号 23760827
研究機関京都大学

研究代表者

藤井 俊行  京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10314296)

キーワードラマン分光分析法 / ネプツニウム / ウラン / 含水溶融塩
研究概要

本研究は、将来的な放射性廃棄物処理処分に関連するアクチニドを用いた化学研究の一環として、高濃度電解質溶液である含水溶融塩中に溶存したウラン及びネプツニウムの配位状態を、ラマン分光分析法を用いて明らかにすることを目的としている。
アルカリ元素の塩化物塩としてLiCl、NaCl、KCl、RbCl、及びCsClを、アルカリ土類元素の塩化物塩としてMgCl2、CaCl2、SrCl2、及びBaCl2を選択し、飽和溶液及び過飽和溶液を調製した。三酸化八ウランを塩酸に溶解し、ウランを含有する塩酸溶液を調製した。このウラン溶液を分取して、乾固し、溶媒を加えることにより、低含水の試料を調製した。試料の吸光分光分析を行い、350~500nmの波長領域に特徴的な吸光スペクトルを観測した。同試料についてラマン分光分析を行い、波数849~872cm-1 にO=U=Oの全対称伸縮運動に関する振動エネルギーν1を観測した。この振動エネルギーと溶媒塩の重量モル濃度の間に相関があり、含水量の減少と共に低波数側にシフトすることがが明らかになった。この現象は錯生成状態の水の活量変化への依存が発現したためであると考えられる。室温付近における10数℃の温度においては波数変化は観測されなかった。分子軌道計算について、ウラニルの赤道面に塩化物イオンが配位した際の錯イオンについて計算を行い、O=U=Oの全対称伸縮運動の振動エネルギーを計算したところ、水和錯体のそれよりも小さな値を示した。ネプツニウム放射性同位体試料(Np-237)を用いて実験を行うため、ネプツニウム溶液の化学形を調整し、濃厚塩化カルシウム溶液に溶解した。試料のラマンスペクトルを測定したところ680~900cm-1の波数領域にラマンピークを観測した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度研究の推進方策として設定した、多種のアルカリ元素及びアルカリ土類元素の塩化物を用いて実験を遂行した。ウランに続きネプツニウムを用いた試料調製を行い、ラマン分析を試行できている。量子化学計算も継続してデータを得ることができており、これらより、概ね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

平成25年度:平成24年度に調製したウラン試料及びネプツニウム試料のラマン分光分析を継続して行う。ウラン試料についてはラマンピークの半値幅と溶媒の含水量の相関を評価する。ネプツニウム試料についてはネプツニルイオンのO=Np=Oの分子振動に着目し、ラマン分光分析を行う。溶媒の含水量を変化させてネプツニルイオンのラマンシフトの変化を観測する。分子軌道計算については、アクチニルの赤道面に塩化物イオンが複数個配位した際の錯イオンや溶媒和効果について計算を行い、イルイオンの全対称伸縮運動の振動エネルギーを計算し、ラマンスペクトルとの整合性を評価する。総合的に含水溶融塩中に溶存するアクチニルイオンの錯生成を議論する。

次年度の研究費の使用計画

実験に必要となる、ガラス、石英器具、試薬等の消耗品の購入、ラマン分光分析に関する知見を深めるために学会・研究会等に参加・議論するための国内外旅費に使用する。

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公開日: 2014-07-24  

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