研究概要 |
マイナーアクチノイド(MA:AmおよびCm)の相互分離を目的とし、リンにより配位するリン系配位子を用いた溶媒抽出によるMA相互分離に関する研究を行った。単座配位子および二座配位子を用いてAm、Cmおよびランタノイド(Ln)の溶媒抽出を行い、その抽出・分離能を調べた。また配位狭角が調整可能と考えられるTunePHOSと呼ばれるリン系配位子を用いた溶媒抽出を行い、配位狭角の違いによるMA間の分離能を調べた。単座の配位子であるトリフェニルホスフィンの場合は分配比は低く、AmとCmの分配比には差が見られなかった。2座の配位子であるジフェニルホスフィノメタンやジフェニルホスフィノエタンの場合、MAとLnの間に高い分離能(分離系数が50から100程度)を示し、リン系配位子を抽出剤として用いることでMAとLnの分離が可能であることが示された。一方、MA間には分配比の差はほとんど見られなかった。またLnの抽出ではDPPMでは軽ランタノイドに選択的であり、DPPEでは重ランタノイドに選択的であった。配位子の構造によりLnの選択性に違いがあることから、配位子の構造による相互分離の可能性が示唆された。アルキル鎖の長さを調整することで配位狭角が調整可能と考えられるCn-Tunphos(アルキル鎖の炭素数:n=1, 2, 3)を用いた場合、分配比はC3>C1>C2の順で高くなり、配位狭角により抽出化学種の安定性が異なることが示唆された。MA間には分配比の差はほとんど見られないことから、TunePHOSによる配位狭角の制御はMA相互分離には適さないことが分かった。
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