本研究では、集光型太陽光発電モジュールの薄型軽量化を目的とし、主に以下の3点について開発を実施した。(1)低電流大電圧化セルの開発(2)薄型モジュール用集光素子の設計(3)モジュールの試作とフィールド試験の実施 (1)について、より高い集光度を実現し、ジュール熱の発生による損失を低減するため、太陽電池セルの低電流・大電圧化をめざしたモノリシック集積化直列接合GaAs太陽電池セルの開発を行った。10個のサブセルの直列構造からなるGaAs太陽電池セルによって電流密度を維持しつつ電圧が10倍となることが実証された。さらに、バイパスダイオードを同一のプロセス工程を用いて集積することにより、入射光の分布変動からサブセルの一部が遮蔽されることによって、逆バイアス電圧が印加されることに起因するサブセルの故障を防止する構造を開発した。 (2)に関しては、より薄型軽量のモジュール開発を目指した集光素子の光学設計を実施し、100mmサイズで焦点距離が50mmとなるフレネルレンズについて、光学スループットが80%となる条件をのもとで設計を実施した。。 (3)に関して、電流整合型3接合タンデム太陽電池と100mmサイズのフレネルレンズ(焦点距離150mm)を用いた集光型太陽電池モジュールを試作し、太陽光追尾架台に搭載した。太陽光を利用したフィールド試験の結果、幾何学集光度400倍のモジュールを用いて変換効率24.8%を達成した。
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