本研究では、TiO2光触媒のCO2改質性能向上、特に還元性能向上によるCH4、CO、H2等の燃料製造性能向上を主目的とした。吸収光波長域の異なる金属をCO2からのH2製造実績のあるPdに組み合わせてTiO2に担持することで、広範な波長域光に応答する高性能コンバインド光触媒の作製を目指した。作製したコンバインド光触媒の表面性状をSEM、EPMAにより分析した。また、紫外光を含む広波長域照射条件と可視光照射条件でCO2改質実験を行い、可視光応答性の発現の有無、CO2改質性能向上の有無を評価した。その結果、以下の知見を得た。1)担持金属をCr、Cu、Fe、V、Pd(Al2O3との混合粉末でPdの割合は5wt%)と変化させて、網目状シリカ繊維にコンバインドTiO2光触媒をコーティングし、SEM、EPMA分析を行ったところ、本研究のゾルゲル・ディップコーティング法の手順で網目状シリカ繊維上にコンバインドTiO2光触媒のコーティングが可能であることが確認された。本手法でコンバインドTiO2光触媒を作製すること、および網目状シリカ繊維にコーティングすることは、これまでに報告例がなく、貴重な知見である。2)バッチ式光触媒リアクターにてCO2改質実験を行った結果、紫外光を含む広波長域照射条件および可視光照射条件で、CO生成濃度は、Fe担持条件で最高値が得られ、V担持条件がそれに次いで高い値を示した。CH4生成濃度は、Pd担持TiO2光触媒とFe担持TiO2光触媒の組み合わせで、かつPd担持TiO2光触媒を上に配置した場合に、最高値が得られた。吸収光波長域の異なる金属をCO2からのH2製造実績のあるPdに組み合わせてTiO2に担持することで、広範な波長域光に応答する高性能コンバインド光触媒を作製するという本研究の目的が達成された。
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