転移因子LINEは、宿主細胞内で自身のRNA配列を逆転写し、そのDNAコピーを宿主ゲノムに挿入することで転移・増幅する。LINEは転移に必須のタンパク質のいくつかを自身がコードするが、LINE自身のコードするタンパク質のみでは転移を完了することはできない。そのため、LINE転移には宿主タンパク質が関与すると考えられているが、どのような宿主タンパク質がLINE転移に必須であるが解明されていない。そこで我々は、LINE転移に必須の宿主タンパク質の少なくともいくつかはLINEタンパク質と相互作用しているとの仮説の下、LINEタンパク質と相互作用する宿主タンパク質の同定を目指した。 その結果、LINEタンパク質と直接相互作用しているタンパク質の同定には成功しなかったが、LINE転移中間体に複数のheterogeneous nuclear ribonucleic protein(hnRNP)が多量に含まれることを明らかにした。また、このhnRNPはLINE RNAと相互作用することでLINE転移中間体に含まれていることを明らかにした。これらのhnRNPは転移中間体において、LINE RNAを分解から保護する等の役割を果たし、LINE転移に寄与しているのかもしれない。
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