研究課題/領域番号 |
23770013
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小泉 逸郎 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (50572799)
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キーワード | 個体群生態学 / 進化生態学 / 集団遺伝学 / 個体群管理 / 遺伝的多様性 / 北海道 |
研究概要 |
本研究は、北海道のサケ(シロザケ)において約100年間50河川の捕獲データを用いて、個体群動態、遺伝的構造、生活史変異を考慮した個体群ユニットの検討を行う。本研究では、個体群という実体把握の難しい概念を、異なる視点からの個体群ユニットとして見つめなおし(個体数変動の同調性、遺伝的組成の均一性、生活史形質の一致性)、世界的にも貴重な大規模データを用いてこれを明確に示す。 平成24年度は、個体数変動と遺伝的均一性の関係について解析した。同調性の解析では、孵化放流事業が確立する1970年代以前と、大きな成功をおさめた2000年代以降では異なる傾向を示した。1970年以前はそれぞれの地域で独立した動態を示していたが、最近ではより広域で同調する傾向を示した。孵化放流事業が個体群構造を均一化した可能性が考えられる。しかしながら、最近の同調性の程度も、欧米など他地域の降海型サケ科魚類と比べるとかなり弱いものであった。さらに、遺伝的に似ているグループほど個体数変動も似ているという結果は得られなかった。用いた捕獲データは捕獲努力量が地域ごとに違ったり、正確な報告がなされてないないなど、データ自身の問題点も考えられた。 そこで、申請者が15年にわたりデータを蓄積している河川性サケ科魚類であるオショロコマについても同様の解析を行った。データは30河川15年間でありシロザケのデータと比べると少ないが、人為的影響が少ない山岳個体群であり、申請者自らが同一の方法でデータを集めており質は高い。解析の結果、個体群動態の類似性によりクラスター化されたグループと、遺伝的類似性によりクラスター化されたグループに、ある程度の一致性が認められた。以上から、放流個体群と野生個体群で遺伝的ユニット-個体群動態ユニットの関係性が異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個体数変動の同調性と遺伝的類似性の関係性を定量的に評価できた。現在、これに生活史形質から導かれる個体群ユニットも併せて検討している。シロザケは放流の影響が大きく、データの質にもバラつきがあることが分かった。しかし、同じサケ科魚類であるオショロコマ野生個体群のデータを用いることにより、両者の弱点を補うべく相補的に考察することが出来そうである。
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今後の研究の推進方策 |
シロザケ、オショロコマ共に、個体数変動データ・遺伝データ・生活史データが揃い、解析が進んできた。最終年度である25年度は解析と論文化および学会発表を中心に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度中にDNA解析を終了させる予定だったが全ては終わらなかったため予算が残った。平成25年度は残りのDNAを分析し、その他の経費は学会発表、論文投稿に充てる。
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