ハラヒシバッタのオスには、隠蔽度を高める「黒紋」の有無に多型がある。体サイズが大きいほど目立つため、体サイズが大きいほど黒紋による隠蔽度向上が重要となる。一方、黒紋はオーバーヒートのリスクを増す。本研究では、多型の頻度における緯度および標高クラインを利用して、温度適応と体サイズが隠蔽色の進化に与える影響について解明を試みた。その結果、オスの黒紋型頻度と体サイズに関連は無かったが、冷涼な環境ほどオスの黒紋型頻度が有意に高かった。これらのことから、ハラヒシバッタのオスに見られる隠蔽色多型は、体温調節の影響を強く受けて進化したことが示唆された。
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