研究課題
胚乳における澱粉粒の大きさは、澱粉の精製効率や利用用途を規定する重要形質である。澱粉粒の大きさは植物種によって異なるが、その決定機構に関与する分子群は分かっていない。本研究では、澱粉粒が巨大化するイネ突然変異体の解析を進めている。本年度は、澱粉粒の大きさを制御する新規因子であるSSG4遺伝子の同定と解析を行なった。澱粉粒が巨大化するssg4変異体を用いて、マップベーストクローニングを行なった結果、ssg4変異を第一染色体短腕62kbの領域に限定した。ssg4変異体でこの領域を調べたところ、Os01g0179400遺伝子に塩基置換を発見することができた。相補性テストの結果もOs01g0179400遺伝子がSSG4遺伝子であることを支持した。SSG4遺伝子はC末端にDUF(Domain of unknown function) 490を持つ機能未知のタンパク質をコードしていた。DUF490配列は細菌から植物まで保存されており、ssg4変異はDUF490内で保存されている部位にアミノ酸置換を引き起こす変異であった。発現解析の結果、SSG4遺伝子は多くの組織で発現していたが、受粉後5-7日目の登熟種子において強く発現することが分かった。また、GFP融合タンパク質の解析から、SSG4タンパク質は澱粉粒を合成、蓄積するオルガネラであるアミロプラストに局在することが分かった。また、GC-MS解析の結果では、ssg4変異体の胚乳ではsucroseとglucoseが増加していることを発見した。今後、食味試験や工業的な視点から澱粉粒の特性評価を行ない、ssg4変異体の応用可能性について検討していく予定である。
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Plant Physiology
巻: 164巻 ページ: 623-636
10.1104/pp.113.229591