研究課題/領域番号 |
23770053
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
石田 喬志 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特任助教 (00462656)
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キーワード | 「国際研究者交流」 / オランダ王国 |
研究概要 |
前年度より開始した、細胞周期制御因子をコードする遺伝子の機能欠失変異体/ノックダウン形質転換体と、SUMO-null変異型ゲノム配列を用いた相補性試験を進め、F3世代のパイロット実験の結果を得た。これまでに、実験に供した全ての変異体で生育不良や致死性になるなどの異常形質を観察しており、さらに、SUMO-null配列の導入で相補されないことを複数の因子で確認している。これらの系統に関しては、次世代以降に遺伝型を固定し、定量的な表現型解析へと発展するための土台を作ることができたと考えている。 本実験に供した全ての因子に関してGFP融合型ベクターを作成し、形質転換体の確立を行った。本実験では、in vivoにおけるSUMO化の有無の検証と、その後のSUMO化サイトの同定を目的としている。既にT2世代以降の系統確立を終え、GFP免疫沈降実験の条件検討を開始している。これまでに精製プロトコールを確立できたものに関しては、抗SUMO抗体を用いたIP-Western blotting実験を開始している。また、SUMO-null型変異を導入したGFP融合配列も作成し、シロイヌナズナに形質転換した。系統確立後には、同様にGFP-IP-Western blottingを行い、SUMO化されなくなっていることを確認しSUMO化サイトを同定する計画である。 SUMO化はタンパク質間相互作用を仲介したり、阻害したりといった機能変調を行うことが知られている。このため、本研究で解析対象とした細胞周期制御因子と相互作用するタンパク質の構成にSUMO化が影響しうるかどうかを検証するため、タンパク質複合体の精製と相互作用因子群の解析を開始した。具体的には、GFP-IP実験を発展させ、質量分析装置による相互作用因子の網羅的な同定と定量的な比較を行うための条件検討を行い、プロトコールを確定させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたGFPによる免疫沈降実験では良好な結果が得られず研究の遂行に遅れが生じた。しかし、この間の学会参加等による情報収集の結果、未発表であるが既に研究対象としているタンパク質を用いた免疫沈降実験に成功している研究グループが海外に存在することを知り、共同研究を開始した。当該研究室に約5か月間滞在し、実験手法のトレーニングと、本研究で使用するコンストラクトの再構築、形質転換植物体の作成を行った。形質転換体の作成に数か月の期間が必要であるため、当初計画と比較した場合にやや遅れが生じている。 しかしながら、遅れは数か月程度にとどまり、今後3か月程度の期間で当初の目的であるSUMO化による細胞周期制御機構の解明を目指した基盤的知見の解明が期待できるほか、研究終了から時間をおかずに学術論文としての発表ができる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では本年度で研究機関が終了する予定であったが、海外研究室において開発された実験手法のトレーニングと、当該手法に合わせたベクター再構築、形質転換植物体の再作成などで数か月程度遅延した。そのため、当初計画における24年度後半部分の研究を遂行する。 具体的には、当初計画にも含まれている変異導入型遺伝子を用いた相補系統の育成と表現型観察を行う。既に形質転換などの過程は終了しており、個別系統の確立と選抜を行った後に詳細な観察へと供する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験手法の習得のため海外留学を行い、実施計画に遅延が生じた。そのため、本来平成24年度に計画していた研究を遂行するために以下の支出を行う。具体的には、作出した形質転換植物体の生育と観察のため、試薬・プラスチック消耗品および植物育成用土を購入する。また、成果発表のための学会出張旅費、技術補佐員の雇用(3か月、週3日程度を予定)に用いる予定である。
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