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2013 年度 実施状況報告書

ケミカルジェネティクスによる二次細胞壁成分合成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23770054
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

米田 新  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50553715)

キーワードケミカルバイオロジー / 二次細胞壁 / 道管 / 表層微小管
研究概要

当研究室ではこれまでに木部道管細胞分化を制御する植物特異的NAC転写因子VND7を同定しており、このVND7を植物体や植物培養細胞中で人為的に機能誘導することにより、様々な器官・組織の細胞を木部道管様細胞へと分化転換させることが出来る実験系を確立している。これにより、本来植物体内部のごく限られた細胞でのみ起こる木部道管細胞の分化過程を詳細に追跡することが可能になった。
本研究課題では、この道管分化誘導系に化合物ライブラリを添加することにより、分化や二次細胞壁の形成に変化を起こす新奇生理活性小分子化合物の探索を行っており、また候補化合物の作用機序を同定することにより木部道管細胞の分化機構を明らかにすることを目的としている。
これまでにおよそ1800種の化合物のスクリーニングを終え、二次細胞壁の構造に異常を引き起こす候補化合物が13種、分化率に変化を及ぼす候補化合物が9種得られた。
二次細胞壁の構造に異常を引き起こす候補化合物のうち2種は、共通の部分構造を持っており、葉酸生合成阻害剤として報告例のある化合物であった。そこで、これら候補化合物と同時に葉酸を添加したところ、部分的ではあるが有意に二次細胞壁の異常が回復した。さらに、これらの候補化合物は一次細胞壁形成時の表層微小管には影響を与えないものの、二次細胞壁形成時にはパターンを乱す可能性が示されつつある。これらのことは葉酸の二次細胞壁形成への関与と二次細胞壁形成時特異的な微小管制御因子への寄与の可能性を示唆するものであり、過去に報告のない新奇の現象であると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに新奇生理活性小分子化合物の候補を複数取得している。
うち2種については作用機序の解明を勧めており、葉酸の二次細胞壁形成への関与と、二次細胞壁形成時特異的な微小管制御因子への阻害の可能性を見出している。
また、新奇の微小管阻害剤と思われる化合物や、分化率を向上させる化合物など、複数の新奇候補化合物の取得に成功している。

今後の研究の推進方策

得られている候補化合物について、標的因子の探索を続ける。
すでに標的因子の探索を進めている2つの候補化合物については、これまでに葉酸合成経路の阻害と、二次細胞壁形成時特異的な微小管パターンへの影響の可能性が示されている。そこで、他の既知の葉酸合成経路に対する阻害剤と組み合わせることにより、これら候補化合物の葉酸合成に対する効果を明確にするとともに、葉酸の二次細胞壁合成に対する役割の解明につなげる。また、微小管動態の詳細な経時観察を行うことにより、これら候補化合物が二次細胞壁形成時の表層微小管に及ぼす影響を調べる。
その他の候補化合物についても、類縁体の効果の検証やアフィニティーカラムを用いた結合タンパク質の単離同定などにより、標的因子の解明を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度には複数の候補化合物の作用機序の探索を行い、そのためにそれら候補化合物の購入を行った。しかし、主な研究対象とした化合物が比較的安価であったため、化合物の購入費として用いる予定であった物品費に残額が生じた。
今年度も引き続き新たな候補化合物を加えて作用機序の解明を行う予定である。そのためにはそれぞれの候補化合物を十分量購入する必要があり、いくつか高価な化合物も含まれていることから、これらの購入費用に当てる。また、アフィニティー精製やMS解析などの消耗品費として用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 木部道管細胞形成の化学遺伝学解析2013

    • 著者名/発表者名
      家門絵理、米田新、出村拓
    • 学会等名
      第7回細胞壁ネットワーク研究会
    • 発表場所
      つくば市 つくばグランドホテル
    • 年月日
      20131013-20131015

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公開日: 2015-05-28  

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