研究課題
GA信号伝達においてDELLAタンパク質とSPYタンパク質は、抑制因子として知られている。DELLAタンパク質は、機能未知の核タンパク質であり下流の信号伝達を抑制している。GA投与によりDELLAタンパク質が速やかに分解され抑制が解除されることでGA応答が誘引される。また、SPYタンパク質は、その構造からGlcNAc転移酵素としての機能が予測されており、リン酸化と拮抗してはたらくと考えられている。しかし、具体的な標的タンパク質が明らかになっておらず、その機能は明らかとなっていない。両タンパク質は、共に抑制因子として機能することが知られており、遺伝学的な解析から、DELLAタンパク質の機能制御にSPYタンパク質が必要であると考えられてきた。しかし、DELLAタンパク質とSPYタンパク質は、相互作用しないことから両タンパク質の関係は未だに明らかになっていない。これまでに、DELLAタンパク質の相互作用因子GAF1の単離に成功しDELLA-GAF1複合体が転写活性化複合体としてはたらき、またもう一つのGAF1相互作用因子であるTPRタンパク質と転写抑制複合体を形成し、下流の標的遺伝子の発現制御を行っていることを明らかにしてきた。本年度は、GAF1複合体には、DELLAタンパク質のみならず、翻訳後修飾タンパク質も含まれることを明らかにした。また、このGAF1複合体は、翻訳後修飾を受けることを明らかにした。GAによるDELLAタンパク質の分解によりGAF1複合体は、転写活性化複合体から転写抑制複合体へと構成が変化させるが、さらに翻訳後修飾による制御機構の存在を示した。GAF1複合体の機能転換はGAのみならず、翻訳後修飾によっても制御される可能性を示した。
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