研究概要 |
1,原形質流動の駆動力として機能する他のミオシンXIメンバー(XI-1, XI-B, XI-K)にシャジクモミオシンXIあるいは,ヒトミオシンVのモータードメインを融合し,高速型および低速型ミオシンXI-1, B, Kを作製した。 2,それぞれのシングルノックアウト株(xi-1, B, k)に形質転換し,T3ホモラインを確立した。 3,表現型解析の結果,高速型XI-1,Bの発現は植物のサイズに影響を及ぼさないことが明らかとなった。 4,高速型XI-Kの発現は植物を大型化した。しかしながら高速型XI-Kによる大型化は,高速型XI-2と時期や組織において違いがあることが明らかとなった。高速型XI-2は植物成長における前期(栄養成長期)に効果が大きく,高速型XI-Kは植物成長における後期(生殖成長期)に効果が大きい傾向が見られた。葉柄の長さにほぼ変化はなかったが,葉面積および乾燥重量は高速型で約30%増大していた。また単位重量あたりのクロロフィル含量は,高速型でも野生株と変化が見られなかった。高速型ミオシンXI-Kによる大型化は,細胞の品質を保持したまま,マスとして増大していると考えられる。 5,Promoter GUS解析により,XI-Kの発現が,葉柄で特異的に抑制されていることが明らかとなった。大型化や発現に特徴的な違いが見られた葉柄表皮細胞の原形質流動における速度改変型ミオシンXI-Kの影響を見た。XI-Kノックアウト株に,高速型・低速型ミオシンXI-Kを発現させたが,原形質流動速度は高速化・低速化せず,ほぼXI-Kノックアウトと同じレベルであった。XI-Kノックアウト株に,野生型ミオシンXI-Kを発現させてはじめて,原形質流動速度は,野生株レベルまで回復した。 以上の結果より,シロイヌナズナは,組織や発達段階に応じて,原形質流動のミオシンモーターを使い分けていることが示唆された。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では研究が円滑に進んだため,得られた成果を論文として発表することに時間を費やした。未使用額を次年度にまわし,今後多数の解析が必要になると考えられる形質転換植物の培養や解析に充てる予定である。 物品費:150,000円,旅費:200,000円,その他:150,000円,計:500,000円
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