研究実績の概要 |
原因物質の特定 湿度60%を境に,湿度が高いほどキメラの大型化・小型化が共に顕著に現れることが明らかとなった。また,通常条件では野生株と変わらないミオシンXIシングルノックアウト株も湿度80%で育てると,XI-2ノックアウトのみ植物が小型化することが明らかとなった。このことから,原因物質は湿度に関連した因子であることが示唆される。植物において一般的に湿度が高いほど,気孔の開度が大きくなる。従って,“二酸化炭素”が原因物質ではないか?ということが予測された。 現在,原形質流動が二酸化炭素取り込みの第二の律速である葉肉抵抗を規定することで植物サイズを制御しているのではないかと考え解析を進めている。 他のミオシンXIメンバーの速度改変 シロイヌナズナにおいて,原形質流動の駆動力以外にも,クラスXIに属するミオシンメンバーが多数存在する(XI-A, B, C, D, E, F, G, H, I, J)。残り全てのメンバーに高速化・低速化を施した。それぞれの内在性ミオシンをノックアウトした株に,速度改変型キメラミオシン遺伝子を導入することで高速型・低速型ミオシン発現株を作製した。 結果,高速型ミオシンXI-Fを発現するシロイヌナズナにおいて,初期成長および抽苔時期の促進が認められた。一方,低速型ミオシンXI-F発現株では,野生株に対して成長の鈍化等は認められなかった。Promoter-GUSによりXI-Fの組織特異的発現を解析したところ,XI-Fは根や茎の維管束特異的に発現していることが明らかとなった。原形質流動のミオシンメンバーの発現が,植物全体なのに対し対照的である。XI-Fは,維管束特異的に働くミオシンであることから,師管における光合成産物(スクロースを含む有機性栄養素)の輸送活性化による初期成長促進の可能性が示唆された。
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