研究課題
両生類の発生過程で起こるアンモニア排泄型から尿素合成・排泄型への窒素代謝変換をトリガーする因子について解析を行っている。現在までに尿素回路酵素のカルバミルリン酸合成酵素(CPS1)の発現を制御する因子としてグルココルチコイド(コルチコステロン)を同定した。また、幼生個体へのコルチコステロン処理によってCPS1発現レベルが上昇すること、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト処理によってCPS1発現レベルが低下することを確認した。また、生体内でのCPS1発現と局在を時間・空間的に可視化するためのトランスジェニックXenopusの作成に取り組んだ。これまでにCPS1プロモーター配列とGFP遺伝子を連結させたコンストラクトを作成したが、トランスジェニック個体の作成には至っていない。さらに、発生初期に尿素を産生する生物学的意義を探るための研究も進めた。尿素回路において、アルギニノコハク酸からアルギニンへの代謝産物として生じるフマル酸は肝臓や消化管、腎臓に存在する糖新生経路を介してグルコース産生に関わっていることが知られている。そこで、Xenopusの初期発生における糖新生酵素遺伝子(PEPCK, FBP, G6Pase)の発現動態を解析した。その結果、CPS1発現が上昇するst47(受精後5日)付近でこれらの遺伝子発現量も増加していることが示された。現在、初期発生における尿素産生において、尿素回路酵素と糖新生経路との関連性について探っている。
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