「生きた化石」として知られるカブトガニ類は、アジアに3種が生息する。日本のカブトガニ集団の遺伝的構造について、ミトコンドリアDNA・AT-rich領域およびマイクロサテライトDNA・8座位を用いて詳細に解析したところ、福岡県・糸島半島を境に東西に遺伝的に分化し、特にその境界に位置する壱岐島の集団は、他の隣接集団と有意に遺伝的に異なることが示唆された。本研究ではさらにカブトガニ類と本種群に寄生するカブトガニウズムシ類の分子系統を比較した。結果、寄生ウズムシの系統関係はほぼ地理的な分布と一致する一方で、一部の地域では宿主と寄生者の関係が入れ子状となり、寄生ウズムシの離合集散の歴史が明らかとなった。
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