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2012 年度 実施状況報告書

熱帯モンスーンアジアのショウガ科の種多様性

研究課題

研究課題/領域番号 23770101
研究機関公益財団法人高知県牧野記念財団

研究代表者

田中 伸幸  公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (40393433)

キーワード東南アジア大陸部
研究概要

モンスーン熱帯アジアにおいて、ショウガ科の文化の中心地の一つであると推定されるが、最も多様性の解析研究が立ち後れているミャンマーにおいて、ビクトリア山からZingiber, Cautleya, Boesenbergia, Roscoea, Rhynchanthus, Globba, Hedychium, Alpinia, Kaempferia, Amomum, Hemiorchisの11属26種のショウガ科植物を明らかにした。このうち、Zingiber属1種Zingiber longiligulatumは、中国雲南省から記載され、中国南西部固有とされていたものであるが、ビクトリア山から採集された標本およびサガイン管区など西北部から採集した標本もこの分類群に相当すると考えられるものが複数あることがわかり、分布はミャンマーが中心ではないかと推定された。今回のビクトリアの記録は分布の南限に当たる。さらに、Zingiber1種およびHedychium1種、Boesenbergia属1種については、既知種に今のところ当てはまるものがなく、未記載種の可能性が高く、今後、詳細な検討を行う。また、タイプ標本を含むインドシナのショウガ科標本を調査するため、タイ・バンコクの林業省標本館(BKF)、コルカタの標本館(CAL)に滞在し、1000点以上の標本調査研究を実施した。これらの成果は、途中経過として「ビクトリア山のショウガ科植物相」として日本植物分類学会第13回大会(千葉大学)にて発表した。昨年度に記載したミャンマー産ショウガ属の新種Zingiber popaenseを含む、ミャンマー産のショウガ植物について、葉緑体DNAのrbcLおよび trnL-F領域のシークエンスを行い塩基配列を決定した。今後、核DNAのITS領域の塩基配列を決定し、隣国のタイに産する種との系統関係を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の達成については、当初初年度に予定していたタイバンコクの林業省標本館(BKF)での比較標本調査を実施できた。また、当該年度に計画していたインド、ミャンマー地域におけるショウガ科の標本を多く収蔵するコルカタ標本館(CAL)でのタイプ標本を含む調査研究を実施し、概ね順調に進んでいる。しかし、DNAの解析実験において、塩基配列の決定までは、概ね終了しているものが多いが、系統解析の結果までは至っていなかったので、今年度は、特にミャンマーにおけるショウガ属およびHedychium属の研究成果をまとめるため、ITSのシークエンス結果を加えて、系統解析をなるべく早く行い結果を出したいと考えている。目的は、本研究で明らかになった未記載種と思われる種の検討を形態とDNA解析との両方で行い、かつ、それらの種の系統関係を近縁の周辺地域の関連種との比較を行うことで解析する。この未記載種の確定のために、次年度は、イギリスのロンドン自然史博物館(BM)での関連種のタイプ標本の網羅的調査を実施する予定である。これをもって、これまでの結果をまとめて論文を執筆する。

今後の研究の推進方策

これまで本研究で明らかになった未記載種と思われる種の検討を形態とDNA解析との両面から行い、かつ、それらの種の系統関係を熱帯モンスーンアジアの周辺地域の近縁の関連種との比較を行うことで解析する。今後は、まずミャンマーにおけるショウガ属およびHedychium属の研究成果をまとめる方向で推進する。タイでのショウガ科のショウガ属植物の種の系統解析にITS領域の塩基配列が使用されて昨年に発表された。従って、これまで、rbcLおよびtrnL-F領域での塩基配列に加えて、今年度はミャンマー産のショウガ科サンプルの核DNAのITS領域のシークエンスを行い、その結果にDDBJのDNAデータを加えて、系統解析を行う。そして、確認された未記載種と思われる分類群の確定のためには、ミャンマーとその周辺地域のショウガ科の種のタイプ標本を検討することが必要である。次年度は、当該標本を最も多く収蔵するイギリスのロンドン自然史博物館(BM)での関連種のタイプ標本の網羅的調査を実施する予定である。ロンドン自然史博物館(BM)には、Flora of British Indiaなどで記載された熱帯モンスーンアジアに分布する多数の情報不足分類群のタイプ標本が世界で最も多く収蔵される。これらの標本の検討は、種多様性の分類学的研究には必要不可欠である。従って、最終段階でこれらの標本を調査、検討した上で、これまでの結果をまとめて論文を執筆する予定である。

次年度の研究費の使用計画

物品費は、関連種のDNAシーケンス実験に使用する実験試薬代として使用するほか、実験補助アルバイトの雇用を行って実施するため人件費を計上している。染色体の観察や核型形態の解析などに使用するための染色体固定、観察関連試薬類としてもこの中から使用する予定である。
旅費は、主としてロンドン自然史博物館標本庫(BM)にタイプ標本他の標本調査研究に使用するほか、国内の学会で本研究成果を発表する際の旅費として使用する予定である。海外の標本調査は、12月に予定している。そのほかについては、未記載種の記載発表論文用の記載図を専門家に描画してもらう目的や論文の英文校閲料として計上している。研究の過程で使用しているパソコン上での画像処理の速度と許容量を上げるために、メモリーの増設およびデータバックアップ用のHDの容量を上げる必要が生じているため、消耗品費の一部(約6万円)を次年度は、このために使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ミャンマー・ビクトリア山のショウガ科植物相2013

    • 著者名/発表者名
      田中伸幸・船越英伸・シェイン・ガイ・ンガイ
    • 学会等名
      日本植物分類学会第13回大会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      20130314-20130317

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公開日: 2014-07-24  

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