研究課題/領域番号 |
23770104
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮川 拓也 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50596559)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 生物物理 / 植物 / 蛋白質 |
研究概要 |
本研究は、アブシシン酸(ABA)の細胞間輸送の鍵となる2種類のABAトランスポーターAtABCG25及びAtABCG40を対象としてX線結晶構造解析を行い、構造生物学的な観点からABA輸送の分子機構の解明を目指す。この目的のために、AtABCG25及びAtABCG40の発現系構築を進めた。膜タンパク質の検出と精製のために、pBADベクターのマルチクローニングサイトの下流にHis10タグ、Flagタグ、蛍光タンパク質mAGをコードする塩基配列を導入した改変ベクターを用いた。シロイヌナズナのcDNAより増幅した2種類のABAトランスポーターの塩基配列を改変pBADベクターに挿入し、C41(DE3), C43(DE3)を含む種々の大腸菌株での発現条件の検討を行った。SDS-PAGEと蛍光イメージャーにより、大腸菌の膜画分に含まれるタンパク質のバンドからmAGの蛍光を検出することができた。しかし、そのバンドの位置はABAトランスポーターの分子量とは明らかに異なっていたことから、大腸菌を用いた発現ではAtABCG25及びAtABCG40が分解を受けることが示唆された。このため、次に酵母Pichia pastorisを用いた発現系の構築を進め、改変pBADベクターと同じコンストラクトとして発現するようにデザインした改変pPICZ酵母発現ベクターを構築した。現在、酵母を用いた2種類のABAトランスポーターの発現確認を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2種類の膜タンパク質(AtABCG25及びAtABCG40)のいずれについても、膜画分への発現条件の確立に至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、AtABCG25及びAtABCG40の酵母での発現確認を進める。また、並行してSf9昆虫細胞を用いた一過性発現及び小麦胚芽無細胞合成系による膜タンパク質の発現確認を進め、早い段階で膜タンパク質の発現系の確立を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、研究計画が予定通りに進まなかったため、その分使用できなかった研究費を次年度に繰り越して使用する。次年度は、研究遂行に必要な物品費として研究費を使用するとともに、発現系の早期確立のために、その研究支援に当たる実験補助者の雇用にも研究費を使用する計画である。
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