光CIDNP現象を利用した固体NMRの汎用感度向上法の開発を目指して、装置と方法論の基礎を作った。フラビン誘導体を用いた「分極剤」の開発過程では、当初計画に無かった分子の自己集合能を利用した新しいプロトコルも開発した。ありふれた水溶性小分子(電子供与体と受容体)の組み合わせだけで、正味の核分極増強が実現できる事を初めて示した。また、光励起常磁性種が巨視的磁化の縦緩和を大きく増進することも見出し、信号積算の高速化で時間感度を向上できることも見いだした。これら光を使った方法は信号取り込み中には常磁性種を失活でき、信号分解能が一切低下しない点で従来の緩和促進法、常磁性DNP法より優れている。
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