研究課題
本研究は、DNA損傷に応答して機能するヒトHLTF (hHLTF) を対象とした構造生物学的研究である。DNA損傷による複製異常は、老化やアポトーシスを引き起こす。DNA損傷による複製停止を回避する戦略の一つがテンプレートスイッチである。 テンプレートスイッチに関与するhHLTFは全長1009アミノ酸残基からなる。ユビキチンリガーゼ活性を持つRINGドメインとDNAヘリカーゼ活性をもつSnf2ドメインを併せ持つ特殊なタンパク質であり、さらに新奇DNA結合ドメインと予想されるHIRANドメインを持つことが知られている。しかし、hHLTFの立体構造は報告されておらず、詳細な機能、テンプレートスイッチの原子レベルでの反応機構は不明である。本研究では、テンプレートスイッチの構造基盤、立体構造に基づくHLTFの詳細な機能を解明するために、新奇DNA結合ドメインと予想されるHIRANドメインに着目し、DNAとの複合体のX線結晶構造解析を行った。その結果、hHLTFのHIRANドメインを高純度に精製する方法を確立し、HIRANドメイン-DNA複合体の結晶構造を1.4オングストローム分解能で決定することに成功した。得られた結晶構造を基に、アミノ酸残基に変異を導入したHIRANドメインタンパク質を調製した。変異を導入したHIRANドメインタンパク質を用いてゲルシフトアッセイを行い、DNAとの結合に重要な残基を特定することに成功した。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Nucleic Acids Res.
巻: 40 ページ: 10394-10407
10.1093/nar/gks763.
J Biol Chem.
巻: 287 ページ: 14289-14300
10.1074/jbc.M112.353201.