平成24年度までに、UTXとヒストンH3ペプチドとの複合体の構造解析と変異体の生化学的解析を終え、UTX特異的阻害剤開発へ向けたインシリコスクリーニング系と生化学的アッセイ系の構築を行った。これらの進捗をもとに、平成25年度には実際にUTXの阻害剤探索を行った。 理化学研究所の化合物ライブラリーから約20000化合物を選び、AlphaLISAシステムを用いたハイスループット生化学アッセイでその阻害活性を調べた。その結果IC50 < 5 μMの強さでUTXを阻害する590化合物を同定した。また、リガンドベースのインシリコスクリーニングで103種類の市販化合物を選択し、実際にこれらの化合物を購入して生化学的に阻害活性を調べた。その結果、17化合物が100 μM濃度で50%以上の阻害活性を示し、最も強い化合物のIC50は約0.15 μMであった。 今後は、同定された化合物が培養細胞においてもUTXを阻害するかどうか調べ、細胞でも活性を示す化合物が得られればそれらについて改良を行っていく予定である。また有望な化合物とUTXとの複合体のX線構造を決定し、化合物改良に有用な構造を得ることも考えている。 本研究のハイスループット生化学アッセイは理化学研究所の伊藤専任研究員(吉田化学遺伝額研究室)との共同研究、インシリコスクリーニングは理化学研究所の佐藤研究員(制御分子設計研究チーム)との共同研究である。
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