研究課題/領域番号 |
23770136
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
斎藤 将樹 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50400271)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 一次線毛 / 細胞質ダイニン軽鎖 / アクチン重合 / 低分子量Gタンパク質 / 細胞周期 |
研究概要 |
私はこれまで、一次線毛の短縮にTctex-1のリン酸化が関与すること、およびアクチンの重合化を介して一次線毛の短縮が引き起こされることを見出した。そこで本年度、Tctex-1を介した一次線毛の短縮においてアクチン重合の果たす役割を検討した。i) 一次線毛の短縮におけるRhoファミリー低分子量Gタンパク質の役割。Cdc42不活性化変異体の過剰発現によって短縮が抑制されたが、Rac1不活性化変異体では影響されなかった。また、Tctex-1のノックダウンによって抑制された短縮は、Cdc42活性化変異体の過剰発現によってレスキューされた。ii) 一次線毛の短縮におけるアクチン重合調節タンパク質ARPC2の役割。Arp2/3複合体サブユニットARPC2のノックダウンによって、一次線毛の短縮が抑制された。また、ARPC2ノックダウンによる短縮の抑制はTctex-1リン酸化変異体 (活性化変異体) の過剰発現によってレスキューされなかった。iii) 一次線毛の短縮におけるアクチン重合調節タンパク質アネキシンA2の役割。一次線毛の短縮は、アネキシンA2のノックダウンによって抑制された。また、その抑制はCdc42活性化変異体の過剰発現によってレスキューされなかった。iv) 細胞周期調節におけるARPC2およびアネキシンA2の役割。ARPC2およびアネキシンA2のノックダウンにより、細胞周期マーカーKi67の陽性細胞数が減少した。 以上の結果より、Tctex-1によってCdc42の活性が制御され、次いでARPC2およびアネキシンA2の活性が調節されることにより一次線毛の短縮が引き起こされること、およびその一次線毛の短縮によって細胞周期が制御されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RhoファミリーGタンパク質のうち、Cdc42がTctex-1によって制御され、かつ一次線毛の短縮に関与すること見出した。また、アクチン重合調節タンパク質であるARPC2やアネキシンA2が一次線毛の短縮およびそれに引き続く細胞周期の調節に関与することを見出した。さらに、ARPC2がTctex-1の下流シグナルとして、一方でアネキシンA2がCdc42の下流シグナルとしてそれぞれ働くことを見出した。これらの研究成果は本年度予定した研究の大部分であることから、本年度はおおむね順調であると考える。しかし、Cdc42の細胞周期における役割については本年度検討することは出来なかったため、次年度に検討する。
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今後の研究の推進方策 |
一次線毛の短縮および細胞周期の制御におけるエンドソーム形成の役割について検討する。私はこれまで、細胞膜からの早期エンドソームの形成が一次線毛の短縮に重要であるという結果を得た。そこで、早期エンドソーム形成の細胞周期における役割を、クラスリンやRab5について検討する。また、一次線毛の短縮や細胞周期調節における後期エンドソーム形成の役割について、Rab7の関与を通じて検討する。さらに、一次線毛の内部あるいは近傍など、一次線毛のいずれの局所でエンドソーム形成が引き起こされるのか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要な試薬、抗体や機器の購入費として次年度研究費の大半を充てる。特に、次年度は多くの物品を購入する予定のため、79千円を本年度から次年度に繰り越すことにした。また、次年度にはこれまでの研究成果を学術論文に投稿する予定のため、採択後の論文別刷り代も必要である。これらを合わせ物品費として1,100千円を使用する。さらに、次年度の研究成果を国内学会にて発表する予定のため、成果発表旅費として70千円を使用する。
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