研究課題/領域番号 |
23770138
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
安田 大恭 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70594951)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | GPCR / N型糖鎖修飾 / Sequon / STT3 |
研究概要 |
本研究の目的は、非Sequon配列への糖鎖付加の機構と細胞内機能の解明であり、平成23年度は交付申請書の研究計画(1)糖鎖付加に必要な新規配列モチーフの同定を目的に、受容体のSequon配列における数種のアミノ酸点変異体の解析、および(2)非Sequon配列への糖鎖付加機構の解明のために、GPCRへの糖鎖付加を担う糖転移酵素の同定を行った。 まず申請者は、非Sequon配列へのみ糖鎖付加される受容体を同定し、その重要なアミノ酸の点変異体プラスミドを数種作製した。その後、培養細胞に受容体を過剰発現させ、その受容体への糖鎖付加の有無を検証した。その結果、SerやThrなどに置換しSequon配列とした受容体は糖鎖付加されること、さらにValに置換した受容体であっても約半数が糖鎖付加されることを示した。一方、Cysと同様に硫黄を有するMetや、SerやThrと同じく水酸基を有するTyrは糖鎖付加されず、酸性アミノ酸であるAspやGluも糖鎖付加されないことから、その受容体のN型糖鎖付加にはAsn+2位におけるアミノ酸側鎖のかさ高さと酸性度が重要であることを明らかにした。 さらに、オリゴ糖転移酵素の活性中心成分STT3のアイソザイムについて、当該受容体への糖鎖付加の寄与を検証し、配列依存的なSTT3アイソザイムの重要性を明らかにした。さらに他の数種GPCRも解析対象とした結果、Sequon配列への糖鎖付加におけるSTT3アイソザイムの役割を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一時期siRNAの抑制効率が低下する等の問題が生じたものの、当初の研究計画に従い概ね順調に研究を進める事ができている。また、一つの受容体に限定せず数種のGPCRに解析対象を広げた結果、非Sequon配列への糖鎖付加だけではないGPCR全般におけるSTT3の寄与についての知見を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度はこれまでの研究成果をまとめ、論文として発表する。また、交付申請書に記載した研究計画の通りに、当該受容体の非Sequon配列へ付加した糖鎖の機能解析を行う。具体的には非Sequon配列への糖鎖を欠損した点変異受容体の細胞内局在、細胞内シグナル伝達、脂質ラフトへの移行やエンドサイトーシスの影響を野生型受容体と比較検証する。 平成23年度は順調に研究を進めることができたため次年度使用額が生じており、次年度の請求研究費と合わせて、今後さらに詳細に上記の解析を進めていく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
糖鎖の機能解析においては、培養細胞に受容体を過剰発現させることが重要であり、細胞培養関連の消耗品やトランスフェクション試薬、細胞内カルシウムイオン濃度や細胞内cAMP濃度の測定のための蛍光試薬など多くの消耗品が必要になる。なお、旅費は研究協力者との研究打ち合わせおよび成果発表に使用する。また、論文投稿と別刷り費用について必要分を計上する。
|