研究課題/領域番号 |
23770145
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹下 浩平 大阪大学, たんぱく質研究所, 招へい研究員 (80346808)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | メチル化模様維持 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
平成23年度に維持メチル化反応の中心的存在であるマウス由来Dnmt1のX線結晶構造解析により、Dnmt1は多段階的な構造変化を伴う調節機構により維持メチル化反応を行っていることを明らかにし論文に報告した(Takeshita, K., et. al., (2011) Proc. Natl. Acad. Sci. USA)。この研究結果を基盤とし、基質であるヘミメチル化DNAを結合した状態の構造解析を行い、Dnmt1のヘミメチル化DNAの認識特異性をX線結晶構造解析により明らかにすることを本研究課題の目的とした。様々な長さのヘミメチル化合成DNAを基質として用い、Wild-typeのDnmt1や触媒中心のシステイン残基をグリシンへ変異したCG変異体を用いて、複合体形成実験を重ね、最終的にDnmt1がメチル化するシトシン塩基を 5-fluoro-deoxycytosineに置換した共有結合性基質の20bpの合成DNA基質との複合体形成に成功した。さらに、多段階的な構造変化を伴う調節機構により維持メチル化反応の詳細を明らかにするために、完全長のDnmt1の結晶構造解析に取り組み、結晶化に成功し現在4Å分解能で構造を決定することに成功しており、さらなる分解能向上を試みている。最終的には完全長Dnmt1を用いて基質複合体の結晶構造を明らかにすることで維持メチル化反応を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス由来Dnmt1のX線結晶構造解析により、Dnmt1は多段階的な構造変化を伴う調節機構により維持メチル化反応を行っていることを明らかにし論文に報告し(Takeshita, K., et. al., (2011) Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、Dnmt1がメチル化するシトシン塩基を 5-fluoro-deoxycytosineに置換した共有結合性基質の20bpの合成DNA基質との複合体形成に成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究成果で得られた複合体の結晶化スクリーニングを進める。結晶化のために十分な結晶化試料の調製と高純度精製を行う必要があり、結晶化スクリーニングと並行してこれらの試料調製法の最適化も進める。結晶が得られない場合は、基質DNAの長さや配列の異なる合成DNAを使って複合体を形成させ、結晶化スクリーニングを行う。得られた結晶はX線回折実験を行い、構造決定へと進める。また、完全長Dnmt1の結晶構造決定ならびに複合体構造解析の実験も同様に進めることで、Dnmt1が触媒する維持メチル化反応の全貌を明らかにするよう研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。主に、消耗品としてDnmt1の大量発現系である昆虫細胞の培地や血清の購入および合成DNAのや結晶化スクリーニング試薬の購入に充てる。必要に応じてプラスチック製品(ピペットチップやバッファー容器)の購入に充てる。
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