研究概要 |
平成23年度に維持メチル化反応の中心的存在であるマウス由来Dnmt1のX線結晶構造解析により、Dnmt1は多段階的な構造変化を伴う調節機構により維持メチル化反応を行っていることを明らかにし論文に報告した(Takeshita, K., et. al., (2011) Proc. Natl. Acad. Sci. USA)。この研究結果を基盤とし、基質であるヘミメチル化DNAを結合した状態の構造解析を行い、Dnmt1のヘミメチル化DNAの認識特異性をX線結晶構造解析により明らかにすることを本研究課題の目的とした。 平成24年度までに様々な長さのヘミメチル化合成DNAとの複合体形成に成功していたが、他の研究グループによって、Dnmt1のDNA結合部分とヘミメチル化合成DNAとの複合体結晶構造が報告された(Song, J. et al. Science, 2012) 。この報告では我々が先に結晶構造から提唱していたヘミメチル化DNAの結合に重要なアミノ酸残基が結合特異性に重要であったことも記されているが、Dnmt1の一部分とヘミメチル化DNAとの複合体であるため、多段階的な構造変化を伴う調節機構まで理解できる報告ではなかった。従って、我々は出来る限り完全長に近いDnmt1とヘミメチル化DNAとの複合体の構造決定を進めるために、前年度から行っているさらに、多段階的な構造変化を伴う調節機構により維持メチル化反応の詳細を明らかにするために、完全長のDnmt1の結晶構造解析に 取り組み、結晶化に成功し現在分解能で構造を決定することに成功しており、さらなる分解能向上を試みている。 最終的には完全長Dnmt1を用いて基質複合体の結晶構造を明らかにすることで維持メチル化反応を明らかにする。
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