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2011 年度 実施状況報告書

アストロサイト容積調節機構における酸素依存的アクアポリン4の機能制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 23770154
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

行武 良哲  慶應義塾大学, 医学部, 特任助教(非常勤) (80449016)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードアクアポリン / アストロサイト / 細胞容積調節機構 / 低酸素
研究概要

アストロサイト容積調節機構における酸素依存的アクアポリン4(AQP4)の機能制御機構という課題のもと、脳虚血時に水分子が果たす役割をAQP4の機能制御を通して解明することが本研究の目的である。脳の機能を維持するために重要な機構として細胞容積調節機構がある。アストロサイトは低浸透圧刺激などで膨張しても、細胞容積調節機構により正常の容積に戻る。低酸素下等でこの機構が破綻すると脳浮腫形成につながる。細胞容積が正常に戻る際には水チャネルアクアポリン4(AQP4)を介した水分子の輸送制御が必要であると考えられる。しかしながら、その分子調節機構は明らかでない。本年度はアストロサイトをマウス胎児より単利培養し、細胞容積変化を追跡する系を立ち上げた。しかしながら、AQP4の阻害剤である亜鉛を細胞内に投与したが、検出レベルに達する前に細胞が生存できなくなるという結果になった。そのため、脳梗塞モデルマウスを野生型とAQP4KOマウスで作製し、凍結させた脳の浸透圧物質やエネルギー代謝産物の網羅的定量解析をキャピラリー電気泳動質量計を用いて行った。その結果、浸透圧物質であるN-ActylaspartateやTaurineの濃度変化は野生型とAQP4KOマウスでは差が認められなかったものの、野生型の患側で減少したATPがAQP4KOマウスでは優位に維持されていた。さらに野生型の患側で上昇しGSHがAQP4KOマウスでは増加が認められなかった。すなわち、AQP4KOマウスでは脳梗塞の細胞ダメージが軽減されているという証拠を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的はアストロサイト容積調節機構における酸素依存的アクアポリン4(AQP4)の機能制御機構という課題のもと、脳虚血時に水分子が果たす役割をAQP4の機能制御を通して解明することがである。今回細胞レベルでの低酸素応答は実験条件的にうまくいかなかったものの、個体レベルにおいて水分子が低酸素による脳ダメージを軽減させるという証拠を代謝解析を通じて得ることができたため。

今後の研究の推進方策

今回得られた証拠をもとに、本年度は脳の定量イメージング解析を行う。AQP4KOマウスにおいて軽減された脳のダメージが実際には神経細胞の多い領域で起きているのか、アストロサイトの多い部位で起きているのか、もしくは大きい血管の周囲なのか、毛細血管の周囲なのか、さらには脳髄液の周囲なのかなどを、ATP,GSHさらには乳酸などの代謝産物や浸透圧物質をマウス脳の切片のイメージングマス解析を用いて、代謝解剖学的解析をすることによって、野生型の病態モデルと比較検討する。

次年度の研究費の使用計画

昨年度23年度は学会発表が日程的に合わなかったため参加できず繰越金が生じた。24年度はAQP4KOマウスを用いて代謝解剖学的解析を行う。本年度は動物の飼料や維持費、また、代謝産物をMALDI/TOF/MSを用いて行うため、マトリックスをはじめとした試薬類やエアブラシ等の消耗品費に多くを充てる。さらに、イメージング解析用ソフトの購入も検討している。これらの経費を繰越金と合わせて使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Immediate post-stroke administration of cilostazol alters profiles of various metabolic pathways in a mouse model of brain ischemia2012

    • 著者名/発表者名
      Yukutake Y, Hattori K, Morikawa T, Nakanishi T, Nagahata Y, Hishiki T, Kajimura M, and Suematsu M.
    • 学会等名
      第37回 日本微小循環学会総会
    • 発表場所
      盛岡(岩手県)
    • 年月日
      2012年3月16日

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公開日: 2013-07-10  

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