研究課題/領域番号 |
23770157
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
山田 康之 立教大学, 理学部, 准教授 (80386507)
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キーワード | 活性調節 / 阻害 / ヌクレオチド結合 |
研究概要 |
バクテリアATP合成酵素の活性調節機構として、εサブユニットによる調節とADP阻害による調節が知られてる。これらの調節機構の間には相互作用が見られる。本研究では、枯草菌ATP合成酵素(BFoF1)の活性調節機構を明らかにすることを目指しており、これら2つの調節機構について調べている。今年度はこのうち、昨年度報告した枯草菌F1-ATPase(BF1)の強いADP阻害の原因について、結果を再検討した。その結果、以下のことが明らかになった。 1 BF1でも、他のF1-ATPaseと同様にαサブユニットにある非触媒部位へのATP結合によって、ADP阻害が軽減される。 2 しかしながら、他のF1-ATPaseで見られる様な、ADP阻害からの完全な回復は見られず、BF1の強いADP阻害の原因は、触媒部位間の相互作用など、ほかの部分にあると考えられる。 非触媒部位へのヌクレオチド結合によって完全に回復しない強いADP阻害は、他種由来のATP合成酵素では見られない、特異なものである。以上の結果を現在投稿中である。 昨年度までは、枯草菌細胞膜を用いてATP合成酵素のホロ酵素(BFoF1)の性質を検討していたが、枯草菌細胞膜に含まれるBFoF1の量は少なく、生化学的な解析が困難であると考えられたため、今年度は大腸菌を宿主としたBFoF1の大量発現系の構築を試みた。枯草菌ゲノムDNAやBF1発現プラスミドからのクローニングを行っているが、現在までにBFoF1オペロン全長を含むクローンは得られていない。 この他、BF1の基本的な生化学的解析を行った結果を論文にまとめ、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載の計画に概ね沿った形で進展しているが、BFoF1ホロ酵素の機能解析は当初予定した実験系では、詳細な解析が困難であったことから、新たに実験系を構築する事とし、その分計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
BFoF1ホロ酵素の機能解析のための実験系が構築でき次第、当初計画に則り、それを用いた解析を行い、その結果を踏まえ、生菌を用いた解析を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
枯草菌ATP合成酵素ホロ酵素の機能解析を行う実験系を変更したため、その実験に使用する消耗品の購入を繰り越すこととなった。 今年度投稿した論文の1つがこれまでに採択されていないため、今年度中の掲載料などの支出が無くなった。 枯草菌ATP合成酵素ホロ酵素調製の実験系が完成した後には、それを用いて当初予定した生化学的な実験を行う予定であり、そのための消耗品の購入に充てる。 論文の掲載が決まれば、掲載料などに充てる。
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