研究課題/領域番号 |
23770158
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寳関 淳 京都大学, 生理化学研究ユニット, 准教授 (40423058)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | レドックス / 小胞体 / グルタチオン / トランスポーター |
研究概要 |
小胞体は細胞内で合成されるタンパク質の約30%を占める分泌及び膜タンパク質のフォールディングの場であり、その品質管理の破綻は神経変性疾患を始めとする様々な疾患の原因となることが知られている。小胞体はフォールディングされるタンパク質の機能発現に必要なジスルフィド結合形成に適した酸化的環境にある一方、ミスフォールドタンパク質の分解においてはサイトゾルへの逆行輸送に先だって必要なジスルフィド結合の開裂においては還元力を必要とする。そのため、小胞体レドックス制御はタンパク質の品質管理において極めて重要である。グルタチオン(GSH)は小胞体レドックスを規定する主要な分子であり、小胞体における還元力のソースであることが最近、明らかになってきた。GSHはサイトゾルで合成されて小胞体へと運ばれるが、小胞体内への取り込みの機序は不明である。本研究においては、GSHの小胞体内腔への取り込みに関わるGSHトランスポーターを同定し、そのタンパク質品質管理への寄与を明らかにすることを目的とする。 平成23年度においては、小胞体GSHトランスポーターを同定する目的で、マイクロソームへのGSH取り込みを内腔タンパク質におけるレドックス状態を指標として測定し、ケミカルライブラリーからこれを阻害するインヒビターの探索を行った。その結果、マイクロソーム内へのGSH輸送を阻害するGSHトランスポーターの阻害剤を同定することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年8月に異動し、異動先において研究開始までのセットアップに時間を要したために研究の進展がやや遅れている。しかしながら、次年度からは本研究に従事する大学院生の数が増員したことで進展の遅れは十分取り戻せる。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に同定したGSHトランスポーターの阻害剤に結合するタンパク質を網羅的に探索し、ここから小胞体GSHトランスポーターを同定する。同定できた小胞体GSHトランスポーターをoverexpression及びknockdownすることでタンパク質品質管理への寄与を明らかにする。さらに、GSHトランスポーターによる小胞体レドックス制御機構を解明する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
昨年8月に異動したため、異動先において本研究開始に至るまでのセットアップに時間を要した。そのため、当初より研究費の使用金額が減少し、次年度使用額が生じた。しかし、次年度は本研究に従事する大学院生の数が増員したことで予定より必要な研究費用が増加した。この新たに生じた必要費用を次年度使用額分により充足させる。その他は当初の予定通り使用する予定である。
|