ジフテリア菌の生体膜上に存在する二成分情報伝達系ChrS/ChrAは、宿主に感染・増殖する際、宿主血液中のヘム濃度に応答する遺伝子として遺伝学的解析から発見されていた。しかし、その実体はわかっていなかった。本研究では、この二成分情報伝達系のセンサー膜タンパク質ChrS とレスポンスレギュレータータンパク質ChrA を発現・精製し、より粒子径の小さい新規生体膜モデルのナノディスクに再構成することに成功した。それにより可能となった各種分光測定を行い、ChrS が第一膜貫通領域でヘムを配位結合することで認識して構造変化し、そのシグナルをリン酸基転移によりChrAへ伝達する「生体鉄感知システム」作用機構のモデルを立てた。
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