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2011 年度 実施状況報告書

エピジェネティクスを用いた脳特異的Oーマンノース糖鎖の発現機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23770163
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

木塚 康彦  独立行政法人理化学研究所, 疾患糖鎖研究チーム, 特別研究員 (20564743)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国際研究者交流 / 国際情報交流
研究概要

本研究課題の目的は、糖鎖を作る糖転移酵素遺伝子がどのように組織特異的に発現しているかを明らかにすることである。その手法として近年著しい発展を遂げているエピジェネティクスを用いた解析を導入し、これまで用いられて来た手法と組み合わせることによって、クロマチンレベルでの新たな糖鎖遺伝子の制御機構の解明を目指している。 平成23年度は、脳特異的な糖鎖遺伝子「GnT-IX」の遺伝子発現について新たに以下の知見を得た。1. GnT-IX遺伝子のプロモーター活性は神経系の細胞で強く働くことをレポーターアッセイにより明らかにした。2. このプロモーターに結合し、GnT-IX遺伝子を活性化する転写因子として、CTCF、NeuroD1の2つの分子を同定した。3. GnT-IX遺伝子のプロモーターは神経系の細胞特異的にエピジェネティクスにより制御されていることを明らかにした。4. 特にプロモーター領域のヒストンの翻訳後修飾が重要であることを見出した。5. エピジェネティックなクロマチンの制御によって転写因子のプロモーターへの結合が調節されていることを明らかにした。 これらの知見から、GnT-IX遺伝子は、転写因子依存的なエピジェネティックなメカニズムにより神経特異的に制御されていることを突き止めた。以上の研究成果を論文としてまとめ、Journal of Biological Chemistry誌に掲載された。また得られた結果は、他の多くの組織特異的な糖鎖遺伝子の発現メカニズムに通じる可能性を秘めており、これまで不明とされてきた組織特異的な糖鎖発現機構を知る上で重要な知見であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成23年度は予想以上に研究が進展し、GnT-IX遺伝子の発現制御メカニズムについて多くの知見が得られ、成果をJournal of Biological Chemistry誌に発表できるまでに至った。その要因として、バイオインフォマティクス、ゲルシフトアッセイ、ChIP解析など、最新の知識や技術を活用して、係る2種の転写因子を迅速に同定できたことが挙げられる。

今後の研究の推進方策

これまで得られた成果から、神経特異的糖鎖遺伝子GnT-IXの制御には、ヒストンの翻訳後修飾を基盤としたエピジェネティクスが重要であることが明らかになった。しかし、こうしたヒストンのエピジェネティックな活性化が、なぜ神経特異的に、また本遺伝子特異的に起こるのかはいまだ不明である。さらに、神経系を構成するどの細胞(ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトなど)でGnT-IX遺伝子の発現が活性化されているのか、詳細な機構は明らかにされていない。また、GnT-IX以外にも組織特異的な糖鎖遺伝子は多く存在しており、それらの遺伝子がどのように制御されているのかはほとんど明らかにされていない。今後はこの3点についてさらに解析を進めて行きたい。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は、まずGnT-IX遺伝子の細胞レベルでの発現についてより詳細に解析する。神経を構成する各細胞における本遺伝子の発現量、発現メカニズムを解析する。そのために、マウス胎児より初代培養ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトの単離培養を行う。またGnT-IX以外の糖鎖遺伝子の発現パターン、メカニズムを解析する。平成24年度の研究費は、以上の計画を遂行するため、マウスの購入費、初代培養細胞の培養に係るプラスチック器具、培地の購入、また糖鎖遺伝子の発現レベルを調べる上での分子生物学的解析(RNAの単離、realtime PCR、ChIP解析など)に必要な試薬・抗体の購入、生化学的解析(western blotting、ゲルシフトアッセイなど)に必要な試薬・抗体の購入など、主に消耗品の購入費用として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] エピゲノムによる糖鎖生合成遺伝子GnT-IXの脳特異的な発現制御機構2012

    • 著者名/発表者名
      木塚 康彦、北爪 しのぶ、谷口 直之
    • 雑誌名

      THE LUNG perspectives

      巻: 20 ページ: 75~80

  • [雑誌論文] Brain-specific expression of N-acetylglucosaminyltransferase IX (GnT-IX) is regulated by epigenetic histone modifications2011

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Kizuka, Shinobu Kitazume, Minoru Yoshida, Naoyuki Taniguchi
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 31875~31884

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.251173

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒストンコードにより制御されるGnT-IX遺伝子の脳特異的発現機構2011

    • 著者名/発表者名
      木塚康彦、北爪しのぶ、吉田稔、谷口直之
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2011年9月22日
  • [学会発表] Regulation of brain-specific GnT-IX (Vb) expression by neural histone-code2011

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Kizuka, Shinobu Kitazume, Minoru Yoshida, Naoyuki Taniguchi
    • 学会等名
      第31回内藤コンファレンス
    • 発表場所
      シャトレーゼ・ガトーキングダムサッポロ(北海道)
    • 年月日
      2011年9月14日
  • [学会発表] Histone-code regulates brain specific expression of N-acetylglucosaminyltransferase-IX (GnT-IX)2011

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Kizuka, Shinobu Kitazume, Minoru Yoshida, Naoyuki Taniguchi
    • 学会等名
      Glyco21, 21st international symposium on glycoconjugates
    • 発表場所
      ウィーン大学(オーストリア)
    • 年月日
      2011年8月24日
  • [学会発表] 脳特異的糖転移酵素GnT-IX遺伝子のエピジェネティックな発現制御2011

    • 著者名/発表者名
      木塚康彦, 北爪しのぶ, 谷口直之
    • 学会等名
      GlycoTOKYO 2011 シンポジウム
    • 発表場所
      理化学研究所(埼玉県)
    • 年月日
      2011年12月9日

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公開日: 2013-07-10  

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