研究課題
金や銀等のナノ粒子(100nm以下)は、その吸収スペクトルと重なる吸収スペクトルを持つ蛍光プローブが近傍にあるとき、局在プラズモンにより、蛍光プローブの蛍光強度の増強、蛍光褪色への耐性効果といった、金属による蛍光増強効果が起きることが知られている。本研究は、金や銀ナノ粒子による蛍光プローブへの金属増強効果を利用することにより、細胞膜上を拡散する蛍光1分子の高感度・長時間観察を安定して行うためのシステムを開発することを目的としている。これまでに、金を核とした銀ナノ粒子基板を作成し、蛍光1分子の観察を行うことで、銀ナノ粒子による増強効果を確認してきた。しかし、銀ナノ粒子径が大きくなると、背景光が上昇する問題があった。そのため、最終目標である4色蛍光分子の同時観察に至ることができなかった。そこで、本年度は金ナノ粒子のみによる増強効果を確認することにした。細胞観察に一般的に用いられる、コラーゲンでコートする際に金ナノ粒子を混ぜ、増強効果が起きるかどうか確認をした。HeLa細胞に蛍光標識したEGF分子を培地中に入れ、全反射照明顕微鏡を用いて1分子観察を行った。観察した輝点は輝点追跡用に開発したImageJのプラグインPTAを用いて自動解析を行った。その結果、金ナノ粒子による全視野での安定した増強効果を観察することはできなかった。さらに、アミノシランコートしたガラスにおいて金ナノ粒子を沈着させ、同様に1分子蛍光観察を行ったが、顕著な増強効果を確認することはできなかった。簡便な基板の作成にはさらに検討が必要であると考えられる。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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