クラミドモナスを三次元空間で追尾しながら、同時に鞭毛の動きを安定に観察することを可能としたトラッキング顕微鏡の開発を続けた。トラッキング顕微鏡の評価のために、高速ビジョンにより計測された顕微鏡画像から画像処理によって得られる細胞位置の計測精度を評価したところ、最大0.54マイクロメートル、最小-0.52マイクロメートルの誤差が確認された。また対象をトラッキングしている際の誤差を計測したところ、面内方向については最大で±1 マイクロメートルの誤差、奥行き方向については-15~5マイクロメートルの誤差があることが分かった。 上記の評価と並行して、鞭毛運動を担う遺伝子の分子遺伝学的解析を迅速に進めるためのクラミドモナス形質転換系を構築した。前年度に構築した矩形波パルスを用いたエレクトポレーションによる形質転換系をさらに発展させ、電気パルスの条件検討に使用した雄株C-9の他に、雄株CC-124、雌株CC-1690、雌株CC-125についても同様の効率で形質転換できることを確認した。これによってクラミドモナス両性の野生株を高効率で形質転換することが可能となり、交配による育種を行う基盤が確立された。以上の研究結果を論文に投稿した(Yamano et al. J. Biosci. Bioeng. in press)。
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