研究課題/領域番号 |
23770183
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 講師 (10519440)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 細菌べん毛モーター / 分子モーター |
研究概要 |
細菌べん毛モーターは,回転子と固定子から構成される直径約50 nmの超分子回転モーターである.モーターは,細胞外構造物であるらせん状のべん毛フィラメントをスクリューのように回転させて細菌遊泳の原動力を生み出す.モーター本体は細胞膜に埋まっており,イオンチャネルとして機能する固定子の細胞質ドメインと回転子が相互作用して,細胞膜を介したイオンの流れを回転トルクへとエネルギー変換する.これまで,トルクが細胞質側で発生しているにもかかわらず,モーターの回転は常にフィラメントを通して間接的に検出されてきた.そのため,モーターの力学特性の情報は集まるものの,回転の分子機構については明らかでない点が多い.そこで,本研究では,モーターが実際にトルクを発生している細胞内部位を蛍光標識して,モーター本体の回転を直接的に検出する基盤技術の開発を目的としている. 本年度は,主に蛍光観察系システムの確立をおこなうために,以下の研究をおこなった.1)1分子蛍光顕微鏡の評価.構築した顕微鏡を利用して蛍光色素1分子が観察できることを確認し,詳細な装置の評価をおこなった.2)蛍光色素によってモータータンパク質を標識する条件の検討.モータータンパク質にHalo-tagを介して,Rhodamineで蛍光標識する条件の検討をおこなった.現在,蛍光の退色過程から,機能しているモーターの構成素子の数の見積もりをおこなっている.また,モータータンパク質のmCherryやSNAP,CLIPによる標識方法の開発をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光顕微鏡による観察系に加えて,光ピンセットによる細胞の動きを制御するシステムの構築を予定していたが,光学系の導入まで至らなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度完成に至らなかった光ピンセットのシステムの導入など,引き続き,顕微鏡光学系の構築を推進する.
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次年度の研究費の使用計画 |
光ピンセットの導入に必要な光学部品の購入費およびモータータンパク質を蛍光標識する試薬類の購入への使用を予定している.
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