• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

線維前駆中間体の構造解析によるアミロイドーシス伝播機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23770188
研究機関神戸大学

研究代表者

茶谷 絵理  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00432493)

キーワードタンパク質 / フォールディング / アミロイド / 伝播 / 中間体
研究概要

アミロイド線維は、タンパク質のミスフォールディングによって形成される立体構造であり、数々の深刻な疾病に関わることから強い関心が寄せられている。なかでも、アミロイド線維の「核依存性伸長」という、自らの末端構造を鋳型として順次モノマーが結合し成長しながら構造を伝播させる性質は、アミロイドーシスの感染および伝播を引き起こす分子基盤であると考えられる。しかしながら、アミロイド構造がどのように自己の構造を複製するのか詳細は明らかにされていない。
本課題では、伝播性が発現する以前のアミロイド線維前駆中間体に着目し、成熟アミロイド線維と構造比較することにより、伝播性に必要なクロスβ構造の領域を探索する実験を実施した。インスリンについて条件探索を行った結果、溶媒条件を調節することにより中間体を高効率かつ安定に捕捉できることを見つけた。捕捉した線維前駆中間体に対してFT-IR解析およびプロテアーゼ消化を行い、クロスβ構造形成量および領域を検討したところ、中間体ではクロスβ構造を一部のみ形成していることが明らかとなり、成熟したアミロイド線維との比較により伝播に重要な役割を果たすクロスβ構造領域の存在が示されつつある。
また、アミロイド線維の構造多形にも着目し、一種類のタンパク質から形成される多形線維の伝播についても解析した。β2ミクログロブリン線維の構造多形が2,2,2-トリフルオロエタノール共存下で濃度依存的に生成することを見つけ、さらにこれらの多形線維が伝播することを確認した。興味深いことに、これらの伝播反応は速度が明らかに異なり、構造伝播反応と疎水性相互作用の関連性に関して新たな知見を得ることができた。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] アミロイド線維伸長における中間体構造の捕捉と構造解析2012

    • 著者名/発表者名
      茶谷 絵理、小沼 剛、後藤 祐児
    • 雑誌名

      生物物理

      巻: 52 ページ: 148-149

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Polymorphism of β2-microglobulin amyloid fibrils manifested by ultrasonication-enhanced fibril formation in trifluoroethanol2012

    • 著者名/発表者名
      Eri Chatani, Hisashi Yagi, Hironobu Naiki, and Yuji Goto
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 287 ページ: 22827-22837

    • DOI

      10.1074/jbc.M111.333310

    • 査読あり
  • [学会発表] アミロイド線維の形成機構

    • 著者名/発表者名
      茶谷 絵理
    • 学会等名
      奈良女子大学酵素クラブ第3回セミナー
    • 発表場所
      奈良
    • 招待講演
  • [学会発表] 小角X線散乱によるアミロイド線維の構造解析

    • 著者名/発表者名
      井上 倫太郎,茶谷 絵理,西田 幸次,金谷 利治,山本 雅英
    • 学会等名
      第61回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      横浜
  • [学会発表] インスリンアミロイド線維前駆中間体の捕捉と構造解析

    • 著者名/発表者名
      茶谷 絵理,今村 比呂志,山本 直樹,加藤 稔
    • 学会等名
      第12回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      名古屋
  • [学会発表] 小角 X線によるアミロイド線維の線維化過程の追跡

    • 著者名/発表者名
      井上 倫太郎,茶谷 絵理,西田 幸次,金谷 利治,山本 雅英
    • 学会等名
      平成24 年度繊維学会秋季研究発表会
    • 発表場所
      福井
  • [学会発表] アミロイド線維形成機構と制御の解析

    • 著者名/発表者名
      茶谷 絵理
    • 学会等名
      横浜国立大学大学院研究セミナー:機能性生体分子の構造生物学的研究
    • 発表場所
      横浜
    • 招待講演
  • [学会発表] アミロイド線維形成に及ぼすイオンの作用機構

    • 著者名/発表者名
      増田 裕輝,茶谷 絵理
    • 学会等名
      第85回日本生化学学会年会
    • 発表場所
      博多
  • [学会発表] アミロイド線維形成に及ぼすイオンの作用機構

    • 著者名/発表者名
      増田 裕輝,茶谷 絵理
    • 学会等名
      神戸大学研究基盤センター「若手フロンティア研究会2012」
    • 発表場所
      神戸
  • [学会発表] 近赤外分光法を用いたインスリンアミロイド形成過程の非破壊モニタリング

    • 著者名/発表者名
      土坂祐太郎,増田裕輝,茶谷絵理,ツェンコヴァ ルミャナ
    • 学会等名
      第28回近赤外フォーラム
    • 発表場所
      那覇

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi