研究課題
筋委縮性側索硬化症 (Amyotrophic lateral sclerosis; ALS)の原因として,近年,TDP43 (TAR-DNA/RNA binding protein 43-kDa)タンパク質が注目されている.本研究では,TDP43タンパク質が細胞内のRNAを介して神経細胞毒性を発揮するメカニズムを明らかにする.具体的には,TDP43タンパク質またはCaspase3により切断されて生じるそのC末断片が凝集し,他の機能性タンパク質や機能性RNAを巻き込むことで神経細胞死を引き起こす可能性と,TDP43の変異体が細胞内RNAメタボリズムに対し変化をもたらし,神経細胞死を引き起こす可能性について検証することで,ALSにおける神経細胞死の機構を詳細に解明することが目的である.当該年度は,ALS関連変異体として知られているTDP43-Q331Kの,アポトーシス誘導時における核-細胞質間輸送について解析した.野生型と比べて,Q331K型変異体は細胞質移行が速くなっていた.このことから以下の可能性が考えられた.1,Q331K型変異体の立体構造がCaspase3により切断されやすいものであること.2,Q331K型変異体がCaspase3経路を活性化しやすいこと.3,Q331K型変異体が形成する複合体の分子量が小さく,核膜孔複合体の通過が起こりやすいこと.これらの可能性のうち,1および2の可能性を明らかにするために,FRETを用いたTDP43の細胞内における立体構造変化の検出系構築検討を行った.その結果,TDP43のN末端とC末端の間は少なくとも10 nm以上離れていることが示唆された.
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