研究課題
オートファジーは、真核細胞が栄養飢餓状態に直面した際に誘導される細胞応答機構で、生存維持に必要な栄養源の確保に、オートファゴソーム(AP)が新規に形成され細胞質を非特異的に囲み分解する。AP形成時の最大の疑問点は、新規に形成されるオルガネラの膜の由来である。近年、小胞体やミトコンドリア等の既存のオルガネラ膜の関与を示唆する報告がいくつかあり、活発に議論されるようになった。申請者はAP膜の由来の同定を目指し、AP膜形成機構の解明には不可欠は形態解析により研究を行っている。光顕での観察部位を、より解像度の高い電子顕微鏡を用いてオルガネラとの詳細な関係の観察を行った。 去年立ち上げた最新手法であるFM-EM相関法の3次元解析システムを用い酵母細胞と動物細胞両者のいずれも初期形成過程にしぼって観察を行った。その結果、酵母細胞ではAtg9小胞が無数観察されている。Atg群の中で唯一の膜タンパク質であるため、膜の供給源と考えられる。又、動物細胞では、APの初期形成場には常に小胞体とミトコンドリアの存在が見られた。また、同時進行で世界初の多色ライブ蛍光観察の系も立ち上げることに成功した。ユニークな点は多色(3色)を同時に観察するためにカメラを3台つけたところにある。これまでは多色で撮る際、フィルターを切り替えながらとっていたがそうするとタンパク質の動向を同時に観察することはできない。小胞体とミトコンドリアというメジャーに存在するオルガネラとAP膜形成との関係を調べるには、同時であることが大事てあった。この装置により、長年の懸案であったAP膜初期形成サイトが、小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトであることを突き止めることに成功した。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Nature
巻: 495(7441) ページ: 389-393
Current Opinion in Cell Biology
巻: N/A ページ: N/A
S0955-0674(13)00055-0