• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

TORシグナル経路のグルコース応答制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 23770230
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

建部 恒  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (00596819)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード国際情報交流
研究概要

酵母からヒトまで真核生物全般に渡って進化上保存されているTORC2 (TOR complex 2)-Akt経路は、多細胞生物であるヒトではインシュリン刺激を通じて細胞外環境のグルコースに反応し、単細胞生物である分裂酵母では細胞外環境のグルコースを直接認識し反応する。しかしながらインシュリンホルモンやグルコースがTORC2-Akt経路をどのように活性化するかその分子機構は未だ明らかではない。本研究では分裂酵母を用いてTORC2-Gad8(分裂酵母Akt相同タンパク質)経路がグルコースに応答する分子機構の解明を試みた。 平成23年度はグルコース依存的なTORC2-Gad8経路活性化機構として、1)TORC2活性化因子Ryh1の活性化がグルコースに応答する、2)グルコース応答に関与するCyr1のPP2C様ドメインがGad8を脱リン酸化する、という2つの仮説を検討した。その結果Ryh1活性が培地中のグルコースを除去することで低下することを見出した。一方Cyr1のPP2C様ドメインはGad8を脱リン酸化しなかった。以上の結果から分裂酵母ではRyh1がグルコース依存的にTORC2活性を制御していることが明らかになった。 さらに、Ryh1不活性化因子の探索を目的として分裂酵母の11個のRab GAPを解析し、そのうちの3つがRyh1を直接不活性化している可能性を示唆する結果を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画どおり初年度に、「TORC2活性化因子Ryh1の活性化がグルコースに応答する」という仮説の検討を行い、肯定的な結果を得ることができた。また、「グルコース応答に関与するCyr1のPP2C様ドメインがGad8を脱リン酸化する」という仮説の検討を行い、否定的な結果を得た。以上の結果から初年度内の目標であったグルコースに応答しTORC2-Gad8経路を直接制御する因子の同定に成功した。 これらの結果を踏まえ当初の計画通り、初年度の内に次のステップとしてRyh1活性を直接制御する因子の同定に移り、Ryh1不活性化因子の候補を得ることに成功した。

今後の研究の推進方策

平成24年度は始めにRyh1活性を直接抑制する因子の同定を試みる。そのために、Ryh1不活性化因子の候補とRyh1との物理的相互作用を生化学的手法を用いて検討する。また試験管内で候補因子がRyh1を不活性化するかどうかを検討する。 続いて、Ryh1活性化因子Sat1/4複合体および同定済みの不活性化因子の活性がグルコースに応答するかどうかの検討を行う。このため、分裂酵母細胞内での制御因子とRyh1との物理的相互作用を検討すると共に、試験管内で制御因子がグルコースに応答した活性変動を示すかどうかを検討する。 グルコースに応答する因子の同定した後、グルコース応答制御機構としてグルコースに応答した翻訳後修飾や細胞内局在の変化を検討する。

次年度の研究費の使用計画

研究の進捗状況に合わせて、当初想定していた本年度予算執行計画を一部変更したため未使用額が生じた。本年度未使用分を含めた予算執行計画を次年度には予定している。 次年度前半のうちに培養震盪機ないしは微量高速冷却遠心機、冷蔵ショーケース等の設備備品の購入を予定している。 消耗品として培地用試薬、オリゴDNA、抗体、プラスチック製品、一般試薬等の購入を予定している。 国内および海外で模様される学会への参加等のための出張旅費を当初計画通り予定している。 学会参加費用や論文掲載料等の経費を当初の計画通りで予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Recognition of AGC kinase by TOR complex 2

    • 著者名/発表者名
      建部 恒
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会(招待講演)
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011年12月16日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi