研究課題/領域番号 |
23770233
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
肥田 時征 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90464487)
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キーワード | 細胞生物学 |
研究概要 |
1. 培養条件の最適化:本年度は昨年度に用意したマウス不死化メラノサイトと奇形種細胞を用いて共培養を行い、形態学的解析および生化学的解析を行った。まず、共培養の際に重力の影響があるかどうかを培養条件を変えて検討し、メラノソームの転送が重力に影響されないことを確認した。次に、共培養後の解析のタイミングを最適化するため、複数の培養日数で実験を行った。培養開始後1~7日でメラノソーム転送を検討したが、細胞ペレットで検出可能な細胞収量が得られないことが判明した。そのため、以降のメラニン検出には、少量の検体でも解析ができるような工夫が必要であり、その条件検討を行った。 2. 形態学的解析:本年度は電子顕微鏡を用いて共培養後の細胞を観察した。一定期間の培養後に細胞を固定し、培養環境下での超微細構造の観察を行った。細胞ペレットを超薄切する場合と異なり、資料作成の条件検討が必要であった。具体的には超薄切片作成時にコロジオン膜の使用により良好な結果が得られた。 3. 各種阻害剤がメラニン転送に及ぼす影響を、上記生化学的解析法、形態観察法を用いて検討した。細胞ペレットの肉眼的観察で阻害剤の効果が確認されたが、各サンプルの収量が少なかったため十分な生化学的解析に至らず、今後の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は共培養系を用いてメラニン転送の形態的観察を行い、各種阻害剤のメラニン転送への影響を検討した。電子顕微鏡による観察でmelan-aからXB2へのメラニンの転送は確認できたが、具体的な転送の瞬間をとらえられていないため、引き続き観察が必要である。また、生化学的解析を行う際にサンプルの収量が足りないことが問題となったため、収量を上げてメラニン量の検出感度を向上させる必要がある。マウス細胞での実験に時間を要しているため、ヒト細胞を用いた実験にはまだ着手できていない。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は昨年度までに得られた実験条件をさらに最適化し解析を進める。また、マウス細胞でのデータが揃った段階で、ヒト細胞を用いた共培養系の確立、アグーチ蛋白を用いたメラニンタイプスイッチングの解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、細胞培養に必要な消耗品、試薬を購入する必要がある。電子顕微鏡使用料やデータ解析に費用が必要である。研究結果が揃った段階で国内関連学会への成果発表を予定している。
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