本研究は、腸、心臓、胚のターニング等、体の臓器が作られる中で左右非対称にねじれるメカニズムを明らかにするものである。私は、その原因を解明して行く中で、BMPシグナルが胚発生期の側板中胚葉で左右非対称に働いている事を免疫染色で確認した。BMPシグナルが左右非対称なねじれを引き起こす分子実体としての可能性が高いと考えられたので、次にトランスジェニックマウスを使用してBMPシグナルを変化させる実験を行った。 方法としては、CAG promter-loxP-CAT pA-10xP-caALK2-IRES-EGFPマウスと、ROSA-CreERT2マウスを交配させ、交配後6.5日目でタモキシフェンを投与する事で、時期特異的に航K2シグナルを活性化させた。これにより、BMPシグナルが左右両方の側板中胚葉で上昇する状況を作り出したが、その結果、胚のターニング方向がひっくり返った胚が得られた。つまりBMPシグナルが胚の左右非対称なターニングを引き起こす原因となっている事が考えられる。 BMPシグナルがどのようにしてねじれの原因になるかを解明するために、心臓、腸のチューブに対してアクチン骨格の染色を行い、左右で細胞の形態がどのように違うのか、解析を進めている。この実験より、BMPシグナルが1細胞に対して与える影響を明らかにし、組織全体の変形を理解する。 さらに現在、組織の変形を理解する手段として数理モデルを構築中である。
|