研究課題/領域番号 |
23770248
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内川 昌則 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (80346147)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 感覚器原基 / 転写制御因子 / Sox2 / Sall4 / プラコード / エンハンサー / 嗅上皮 / 内耳 |
研究概要 |
本研究では、転写制御因子SOX2とそのパートナー因子の協調的な作用による感覚器原基特異化における役割を明らかにすることを目的とする。 本年度は、嗅上皮・内耳プラコードで活性を示すエンハンサーNOP-1,NOP-2の活性化に重要な転写制御因子群SOX2とSall4の協調的な作用について検討した。ニワトリ胚を用いた強制発現を行い、SOX2とSall4の作用によってどこまで嗅上皮・内耳プラコードの特異化を推進できるかを調べた。SOX2とSall4の強制発現によって、2つの因子が作用するエンハンサー(Fr15)は頭部外胚葉の広い領域で異所的に活性化されるが、全長のエンハンサーNOP-1の活性化は嗅上皮・内耳プラコードに限られた。このことはエンハンサーNOP-1の制御に、頭部外胚葉や神経系の広い領域で抑制されることが重要なことと一致した。SOX2とSall4の作用による嗅上皮・内耳プラコードの特異化には、脱抑制が重要であることが示唆された。 SOX2のドミナントネガティブフォームによる機能阻害を行った。その結果、エンハンサーNOP-1の耳プラコードにおける活性が阻害された。耳プラコードの形成を組織切片を用いて調べたところ、組織の肥厚は確認された。またマーカー遺伝子等の遺伝子発現について検討しているが、現在のところ、大きく影響された遺伝子は見つかっていない。今後、肥厚した耳プラコードが、その後陥入することができるかどうかを、また遺伝子発現の変化についても、さらに検討していきたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進展している。ニワトリ胚のエレクトロポレーション法を用いた強制発現の系を構築し、頭部外胚葉で特異的に転写制御因子群を作用させることに成功した。今後は、この系を使って、さまざまな因子の作用を検討していきたいと考えている。 エンハンサーNOP-1の制御機構の解析も進めており、そこからいくつかの因子の作用が示唆されている。特に抑制的に働く因子は、SOX2とSall4の作用にも重要であることが示唆されていることから、今後着目して研究を進めていきたいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究計画に従って進めていきたいと考えている。転写制御因子群による作用を調べ、本年度は特にその転写制御因子群が作用できる条件を明らかにしていきたい。これまでの研究から、転写制御の抑制が嗅上皮・内耳プラコードで活性を示すエンハンサーNOP-1の制御に重要であることが明らかになってきた。転写制御因子群SOX2とSall4の協調的な作用においても、この抑制からの脱抑制が重要であることが示唆される。この抑制機構を明らかにして、SOX2とSall4の協調的な作用機構を解析していきたいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画に変更はなく、当初の予定通りの研究を進めていく予定である。
|